1997 Fiscal Year Annual Research Report
キ-シーン抽出・構造化法を用いた授業分析方法の研究開発
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09780153
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
山口 好和 北海道教育大学, 教育学部・函館校, 助教授 (30271018)
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Keywords | 授業分析 / キ-シーン抽出・構造化 / 教授行動系列 / 教授スキル / 授業アセスメント / 授業設計 / 授業シミュレーション / 教材分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、言語工学等の領域で活用されてきたキーワードの抽出・構造化を適用し、授業研究方法論の基礎研究となる授業分析方法の開発を行うことである。これは大きく3つの下位目的に分けられる。すなわち、(1)授業におけるキ-シーン同定方法の明確化、(2)キ-シーンにおける構成要素の構造化、(3)授業シミュレーション・モデル作成の基礎的視点の形成である。これにより、コミュニケーションの変遷過程ともいえる授業を複数の観点から構造化する際の、「視点」と「手続き」を体系化することをねらいとしている。 平成9年度は、授業分析方法のプロトタイプの形成およびその基礎作業として以下の手続きをとった。(1)研究対象の特定(複数)、(2)VTRによる授業記録、(3)授業記録に基づく逐語記録の作成、(4)キ-シーンの固定・抽出、(5)キ-シーン間の関連性の考察、(6)当該授業に含まれる意味内容の図示・構造化である。具体的には、小学校算数科2年生の授業を対象として試みた結果、教師の意思決定過程、授業の分節、およびその視点群をある程度明らかにできた。一方、それらの作業と並行して、放送番組を教材としたカリキュラム設計の手続きについても開発研究を実施した。これにより、キ-場面を抽出して構造化を行うという研究手法の適用可能性を確かめることができた。これは、教育実践研究における、映像情報の活用方法の提案材料にもなる。 次年度以降の課題としては、次の数点を想定している。まず、今年度の成果をより一般に適用するために、研究対象とする事例を増やすことである。とりわけ授業者との対話環境を整えることによって、意思決定過程をより明らかにしなければならない。さらにそれらの知見から、授業シミュレーション・モデルを形成するための視点を提案することが求められる。
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[Publications] 山口好和・井上光洋: "キ-シーン抽出・構造化法による授業分析方法の開発" 教育工学関連学協会連合第5回全国大会講演論文集(第一分冊). 239-242 (1997)
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[Publications] 山口好和: "北海道教育大学教科教育学研究図書「子どもの表現とメディア」" 東京書籍(印刷中), (1998)