1997 Fiscal Year Annual Research Report
構造の複雑さの変化するベイズモデルによる非定常時系列解析
Project/Area Number |
09780217
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
生駒 哲一 広島市立大学, 情報科学部, 助手 (40281282)
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Keywords | 非定常スペクトル / 時系列解析 / 非定常モデル / 構造変化 |
Research Abstract |
本研究の目標であった,モデルの構造パラメータを状態と同時に推定する方法の可能性を明らかにすることについては,次のような点が新たにわかった. まず非定常スペクトル解析を目的とした時変AR次数をベイズの枠組みで持つ新しいモデルを開発した.このモデルでは,まずPARCOR時変ARモデルにより予め時変PARCOR(偏自己相関係数)を推定しておく.PARCORの形で推定しておくことで,様々なAR次数の時変係数をこれから算出することができるという利点がある.つぎに時変PARCORが与えられた下での時変AR次数モデルにより,データを最も良く説明する時変AR次数を推定する.またここで推定されたAR次数に基づき,非定常スペクトルが得られる. ここで時変AR次数の推定では,時変PARCORの推定にて既にデータ1回使っており,これと合わせてデータを2回使うことになる.すなわち,AICにて平均対数尤度の推定値としての偏りを修正する議論と同様に,推定される時変AR次数のバイアス修正が必要になる.同一分布に対するバイアスの修正がAIC等での前提であるのに対し,本手法では非定常性のためその前提は成り立たない.そこで素朴な方法として,AICやBICのバイアス修正項をデータ数で割った量を,各観測におけるバイアス修正量として採用することにした. このバイアス修正法で,BICに基づくものについて,時間的に不変なAR過程で生成したデータによるシミュレーション実験を行ない,時変AR次数の推定の効果をみた.すると,バイアスの修正がまだ不足しているという結果が得られた.実験的にバイアス修正項をr倍してみることで妥当なrの値を求めたところ,実験に使ったデータについては,r=2.4という値が得られた.しかしバイアス修正に関しては,実験的事実しか分かっていないのが現状であるので,その解明にはさらに今後の研究が必要である.
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