1998 Fiscal Year Annual Research Report
メモリ共有型マルチプロセッサシステムにおける無待機アルゴリズムに関する研究
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09780281
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
井上 美智子 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手 (30273840)
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Keywords | 分散アルゴリズム / 無待機アルゴリズム / 共有メモリシステム / 自己安定性 |
Research Abstract |
メモリ共有型マルチプロセッサシステムにおける無待機アルゴリズムに関して研究を行った。複数のプロセスが協調動作を行うためのアルゴリズムにおいて、各プロセスが他のプロセスの動作速度に関わらす有限回のステップで処理を完了することを保証するとき、そのアルゴリズムは無待機であるという。無待機アルゴリズムは自プロセス以外のプロセスが故障して停止しても正しく動作することから、高い故障耐性を持つアルゴリズムとして注目されている。本研究では、無待機アルゴリズムにの研究に関して、主に以下の2つの成果を得た。 1. 自己安定無待機時計合わせプロトコルに関する研究 全プロセスが大域パルスを共有する同期式共有メモリシステムで、各プロセスが個別に管理する局所時計を同期させるプロトコルに関する研究を行った。これまで、同期に要するパルス数である同期時間が最適であるプロトコルを提案していたが、今年度はこの最適性を損なうことなく自己安定性をも有するプロトコルを提案した。 2. 共有オブジェクトの無待機な実現に関する研究 メッセージ交換システムにおいて、複数のプロセスが同時に利用することのできる共有オブジェクトを実現する研究を行った。共有オブジェクトに対する操作を開始してから応答が得られるまでの応答時間に関して、効率の良い共有レジスタおよび一般の共有オブジェクトの実現、および、応答時間の下界に関する結果を示した。
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[Publications] 井上美智子: "Efficient Linearizable Implementation of shared FIFO Queues and Geveval Objects on a Distributed System" IEICE Transaction on Fundamentals of Electronics communication and computes sciences. E81-ANo.5. 768-775 (1998)
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[Publications] 守屋宣: "Self-stabilizing Wait-Free clock Synchronization with Bounded Space" Proceedings of the 2nd International conference on Principles of Distributed Systems. 129-143 (1998)
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[Publications] 大堀 力: "分散移動システムのための前後関係保存放送プロトコル" 電子情報通信学会論文誌(D1). J82-D-1No.2. 425-435 (1999)
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[Publications] 須田克朗: "線形化可能性を保証する共有オブジェクトの無待機な実現" 電子情報通信学会技術報告. COMP98-73. 9-16 (1999)
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[Publications] 寺田雅人: "分散移動システムにおける全域チェックポイントについて" 電子情報通信学会技術報告. COMP98-74. 17-24 (1999)