1997 Fiscal Year Annual Research Report
パイプライン化された依存性グラフからの高速非同期式プロセッサの生成
Project/Area Number |
09780288
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
籠谷 裕人 岡山大学, 工学部, 助手 (50271060)
|
Keywords | 非同期式回路 / パイプライン機構 / 依存性グラフ / 自動合成 / グラフ変形 / 2相動作 |
Research Abstract |
本研究では、パイプライン動作を表現した依存性グラフ(プロセッサ内で実行される部分処理(基本操作)間の実行順序や条件分岐などを記述した有向グラフ)から、効率的に動作する2相非同期式回路を生成する手段を得ることを目的とし、本年度は、その原理と条件分岐を含まない場合の基本アルゴリズムを開発した。 本方式では、まず、依存性グラフを次のように標準化する。(1)並列動作の開始を極力早く、待合せを極力遅く実行するようにグラフを変形する。(2)パイプライン動作をしない基本操作間に通常方向の枝が省略されている場合、これを付加する。 次に、どの時点で次の回の処理を開始できるかを表す逆方向の枝を2分し、対応する通常方向の枝に対して交叉するように接続する。このようなグラフにおいて、1と0のサイクルによる動作を対応づけると、この基本操作の対は、1と0のサイクルが反転して実行されるようになる。この結果、パイプラインによって並列に動作すべき基本操作の対は、同サイクル内で並列に実行される。これによって、最初の依存性グラフで表現されていたパイプライン動作をそのまま保持しつつ、グラフと回路の動作が1対1に対応するようなグラフ(2相依存性グラフ)が生成できる。 最後に、この2相依存性グラフを、従来とほぼ同じように回路にマッピングすることにより、もとの依存性グラフで表現されているとおりにパイプライン動作する2相非同期式回路が得られる。 本方法では、現在のところ以下のような点が未解決である。(1)条件分岐を含む場合に対応できない。(2)依存性グラフを標準化する際、冗長な枝が付加されるので、生成される回路が大きくなるおそれがある。これらの点は、次年度に解決すべき課題である。
|