Research Abstract |
本研究の目的は,PeCo-Mediatorをネットワークを通じた分散環境に拡張し,個人がもつ人脈を利用した協調作業支援環境を構築することである.つまり,本研究では,人間と人間の効果的なコラボレーションを生むために,人脈をたどって,より良い協力者を捜す過程をサポートする仲介者としてのコンピュータシステムのあり方について研究を行う.具体的には,本システムは,各個人の人脈をたどり,協力者を探す過程をエージェント技術を用いて支援する. 本年度は,人脈を蓄積するための分散型データベースシステムPeCo-Collector,及び,人脈探索を支援するPeCo-Agentを構築した.PeCo‐Collectorは,個人の多様な惰報を蓄積可能な柔軟なデータベースを目的として,構築した.人脈探索エージェントは,電子メールを擬人的にエージェント化したものであり,利用者の代理人として人脈を辿り,ネットワーク空問を自由に動き回り,利用者の目的とする人物と人脈を捜し出す過程を支援する.さらに,1ケ月にわたり,実験的評価を行い,我々が提案したシステムの有効性を示した. 以上の成果をまとめ,以下の論文誌に発表した.緒方広明,金群,矢野米雄,古郡延子:“分散型人脈活用支援システムPeCo-Mediator-IIの構築",電子情報通信学会論文誌,D-I, Vol.J80-D-I,No.7, pp‐551-560,(コンカレントコラボレーション特集号)(1997) さらに,本研究では,分散型データベースに時間の概念を導入した分散型時間的データべ-スを構築する.これにより,所属部署などの人物情報は,時間と共に変化するデータも容易に扱うことが可能となる.この研究成果は,以下の論文で発表した.Liliana Rodorigez,Hiroaki Ogata,Yoneo Yano:TVOO:A Temporal Versioned Object-Oriented Data Model Information Sciences Applications(in press). なお,本システムは,SUN Solarisワークステーション上にTcl/Tkを用いて構築しており,着実に研究を進めている.
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