1997 Fiscal Year Annual Research Report
視覚メディアを用いた人間-計算機間の協調対話に基づくメンタルモデルの獲得
Project/Area Number |
09780334
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
角所 考 京都大学, 総合情報メディアセンター, 助教授 (50263322)
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Keywords | マンマシンコミュニケーション / 移動ロボット / 経路理解 / モデル獲得 / 言語メディア / 視覚メディア / 意思伝達 / メディア変換 |
Research Abstract |
本研究では,視覚メディアによるユーザとシステムとの協調的な対話により,ユーザが本来意図した情報を,メディアから適切に復元・理解すると共に,メディア選択やメディア表現の際の基盤となっている視覚メディアと他のメディアとの相互変換のためのユーザ自身のメンタルモデルを獲得することを目的としている. 本年度は,このための具体的事例の1つとして,言葉を用いた地理的経路の移動ロボットへの伝達問題を取り上げ,次に述べるように,記号的な経路表現と,センサデータとしてパターン表現された環境記述との適切な対応向けの実現について検討した.すなわち,人間は,未知環境における経路を他者に伝える場合,"2番目の交差点を左折して..."のように,言葉を利用する場合が多い.ロボットがこのような経路記述に基づいて未知環境中の目的地に正しく到達できるには,言語メディアである言葉の表現する概念記号と視覚メディアである環境の観測データとを対応付けるための概念モデルが必要となる.しかし,これが人間とロボットの間で一致しているとは限らず,このことが両者の意思伝達上の障害となる.そこで,言葉として与えられる経路指示の内容に含まれる文脈的な情報を利用して,自分と異なる概念モデルを持つ相手から伝達された経路指示をロボットが正しく理解すると共に,その結果に基づいてロボット自身の概念モデルを適切なものに修正する処理を実現した. さらに,上とは別の事例として,仮想空間中の物体操作にも焦点を当て,3次元仮想空間中で衣服を対話的に設計できるシステムの構築を具体的な課題として,仮想空間中の人体や布の操作に関するユーザからシステムへの意思伝達処理についても検討を始めた. 今年度は,このためのプラットフォームとなる布シミュレータの構築をほぼ終了したため,今後は,これを用いて衣服設計のための意思伝達問題について研究を進めていく予定である.
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[Publications] 角所考: "移動ロボットによる言語的経路指示理解のための記号情報とパターン情報の対応付け" 人工知能学会誌. VOL.13,No.2. 221-230 (1998)
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[Publications] 角所 考: "Media Information Processing in Documents --Generation of Manuals of Mechanical Parts Assembling--" Pro.of the Fourth International Conference on Document Analysis and Recognition(Ulm,Germany). Vol.II. 792-796 (1997)
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[Publications] 角所 考: "自律移動エージェントによる道標を用いた記号的な経路記述の理解のための認識機構の学習" 電子情報通信学会技術研究報告. PRMU 97-13. (1997)
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[Publications] 角所 考: "言語的な経路指示による移動ロボットの誘導とユーザへのカスタマイズ" 電子情報通信学会技術研究報告. HIP97-9. (1997)
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[Publications] 角所 考: "仮想空間における対話的衣服設計に関する基礎的検討" 情報処理学会研究報告. 97-HI. (1997)
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[Publications] 角所 考: "骨格線を用いた交差点認識のための能動的観測計画手法" 第15回日本ロボット学会学術講演会論文集. 581-582 (1997)