1997 Fiscal Year Annual Research Report
視覚系の運動視と物体視の両処理系の神経回路モデルの研究
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09780337
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊池 眞之 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20291437)
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Keywords | 視覚系 / 動き知覚 / T-Junction / 神経回路モデル / 遮蔽 / aperture problem |
Research Abstract |
今年度は主として以下の2つについての研究成果を得た。 1.物体の動き知覚に関する心理実験および神経回路モデルの構成 Lorenceauらは心理物理実験により頂点の遮蔽された図形の運動知覚に関し、遮蔽するapertureのエッジが可視で運動する図形のエッジとのT字型交点が形成される場合は運動物体の本来の動きが知覚されやすいが、apertureのエッジが不可視の場合は運動図形の各々の辺が別々に往復運動して知覚されやすいことを示した。我々はaperture可視の状況において、図形の辺の運動を観察するapertureの個数を変化させて、刺激提示から被験者が真の運動を知覚するまでの時間を測定したところ、aperture数が少ない場合は時間がかかり、aperture数の増加に伴い時間減少してゆくことがわかった。我々はこの新たな知見を取り入れた神経回路モデルを構成し、シミュレーションを行った。 2.遮蔽されたパターン知覚の神経回路モデルの研究 2次元静止図形の一部が他の図形により遮蔽される場合の、被遮蔽部分の輪郭の知覚に関して、カニッツアは局所的連続性保持の原理に基づき補間が行われることを心理学的に示した。本研究ではカニッツアの知見に基づき、被遮蔽物体輪郭の遮蔽物体輪郭との交点付近の曲率で補間が行われるような神経機構を考えた。さらにT-junctuonからそれぞれの図形の相対的奥行きを検出する機構についても研究し、遮蔽状況のある複数の2次元図形が入力として呈示されると、補間の行われた完全パターンが各々の相対的奥行きにおいて検出される神経回路モデルを構成した。
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Research Products
(1 results)