1998 Fiscal Year Annual Research Report
大規模データに基づく音声対話の音声的・言語的特徴の分析及び音声言語処理での利用
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09780341
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
傳 康晴 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (70291458)
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Keywords | 音声言語情報処理 / 音声対話コーパス / 相づち / やり取り構造 / 統計的分析 / 心理実験 / 韻律情報 / 発話間時間長 |
Research Abstract |
本研究では,人間同士の音声による会話を収録したデータを用いて,言い淀み,言い直しなどの非流暢的現象や話者交替,相づちなどの会話相互作用について分析し,人間の音声言語行動のモデル化と対話システムへの応用に関する研究を行なう.本年度の研究項目は以下の2点である. 1. 相づち応答における韻律情報の関与 前年度に行った,相づち生起個所の韻律特徴の分析に基づき,話し手の発話中の韻律特徴を一部人工的に改変することで,聞き手の相づちを促進したり,抑制したりできるかを心理実験によって検証した.その結果,ポーズ直前の音調を昇降調(尻上がりイントネーション)にすることで,わずかに相づちが増加することがわかった.これは前年度のコーパスからの機械学習に基づく結果と一致するものであり,昇降調のような韻律特徴が,相づち産出のタイミングの制御だけでなく.聞き手からの相づちを要求する目的にも利用できることを示している. 2. やり取り構造と発話間時間長との関係の分析 千葉大学地図課題対話コーパスおよび奈良先端大自由会話コーパスを用いて,働きかけ・応答・補足からなる会話のやり取りの構造と発話間の移行時間長との関係を統計的に分析した.その結果,働きかけ-応答のようなやり取りの内部での発話の移行に要する時間と,一つのやり取りが終了し次のやり取りが始まるといったやり取り間での発話の移行に要する時間とを比べると,前者のほうが移行時間が有意に短いことがわかった.このことは,新たなやり取りを開始する際の認知負荷の高さを示唆するとともに,その情報を利用して,やり取りの境界を自動的に認識できる可能性を示している. 前年度と合わせ,言い直し,話者交替,相づち,やり取り構造といった音声対話の諸特徴に関するさまざまな知見を得ることができ,人間の音声言語コミニュケーションの仕組みに適応した柔軟な音声対話システムを開発するうえでの基礎とすることができた.
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Research Products
(1 results)