1998 Fiscal Year Annual Research Report
製造知識の蓄積と再利用のための計算機利用技術に関する研究
Project/Area Number |
09780359
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
西岡 靖之 東京理科大学, 理工学部, 助手 (50287471)
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Keywords | 問題解決 / 設設支援システム / 知識表現 / クッキング / 製造知識 / オントロジー / コンカレントエンジニアリング / 技能の伝承 |
Research Abstract |
昨年度の研究では、製造知識を表現するための基本的な枠組みとして、空間的な構造と時間的な構造を同時にあつかうことができる問題解決システムを提案し、その有効性を明らかにすることができた。本年度は、この結果を受けて、さらに具体的な製造知識を計算機上に蓄積し、それらの知識のもつ問題解決能力や、知識の再利用性などについて検討した。具体的に言うと、非常に身近なモノ作りの例としてクッキングを取り上げ、オムレツや目玉焼きなどを作るための知識の断片を用いて実験を行った。なお、実験に先立ち、本年度は、空間的構造と時間的構造を同時に決定する問題解決フレームワークに基づいた計算機システムであるPICCSSを、UNIX上からWindows上へ移植した。これにより、グラフィカルユーザーインタフェースが格段に向上し、コンピューターの操作に不慣れな被験者で比較的容易に知識を登録することが可能となった。さて実験では、既存の知識を用いた問題解決において、たとえばオムレツを作る問題が、何らかの制約によって途中からスクランブルエッグに変わるといったような、非常に高い柔軟性が認められた。さらに、知識の共有化の観点からは、類似した卵料理の場合には共有化率が9割にも達することが分かった。これらの研究結果の一部は、平成10年度の人工知能学会全国大会にて発表しており、学術雑誌への投稿も現在検討中である。また、本年度は、昨年度に引き続き、製造業における実際の製品設計および製造に対する知識のヒヤリングを継続して行い、特定の製品系列について部品データベースを構築した。このデータベースは組立てや加工情報を保持しており、知識ベース構築にあたっての非常に有効な情報源となる。ただし、これらの情報をPICCSSを用いて知識ベース化し、実際規模の設計シミュレーションを行うためにはまだ相当の作業を必要とするため、この点に関しては今後の課題とした。
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