1997 Fiscal Year Annual Research Report
奥行き知覚における小さな眼球運動により生じる眼内視差の役割
Project/Area Number |
09780376
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
工藤 博章 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70283421)
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Keywords | ocular parallax / 眼内視差 / 眼球運動 / 注視位置 / 奥行き知覚 / 視差 |
Research Abstract |
本研究では,視覚機能を明らかにするために,奥行き知覚における眼内視差の役割について分析を行った.眼球運動と奥行き知覚との関係を明らかにするために,眼球運動の測定を伴った心理実験を行った.この課題として,オクルージョン(遠くにある面を近くにある面が遮へいすること)の状況のもとでの単眼視差とよる奥行き知覚と注視位置の移動の振る舞いについて,また,固視対象の奥行きを変化させたときに見られる注視位置の分析を行った.注視位置,注視後の視線の移動経路,停留時間に着目して分析したところ,次のような結果が得られた. 1.ある奥行きにある平面を注視する際には,視線の移動範囲は,ある限定された範囲内にあり,その移動方向はほほ均等である.2.より遠くの面の観察では,視線の移動する範囲がより広くなり,また,注視位置がより密になる.3.奥行きの異なる複数の面からなる対象では,その面の間の視差を較べるような視線の移動がみられる.これらの結果は,眼内視差がより有功となるための行動と言え,眼内視差の利用の可能性を示唆するものであろう.しかしながら,単眼での奥行きを知る手がかりとして,例えば,調節機構など眼内視差以外の要因が働いている可能性もあり,これらに対する検討が必要である.このために,プリズムの利用による逆転視野で眼内視差が利用されているかを検証するなどの心理実験の実施を予定している.また,眼内視差の工学的な利用について検討を行っていく.
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