1998 Fiscal Year Annual Research Report
テレイグジスタンスを目的とした対象物変形モデル獲得手法
Project/Area Number |
09780377
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
広田 光一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (80273332)
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Keywords | 弾性変形モデル / モデル同定 / 力覚提示 / 仮想物体 / 仮想環境 / 人工現実感 / テレイグジスタンス |
Research Abstract |
これまで、仮想物体の力学的変形モデルのパラメータは恣意的に与えらることが多かった。しかしながら、現実の物体の変形特性を正確に反映するためには、これを計測にもとづいて決定する必要がある。 本研究では、仮想物体の力学的変形モデルを実物体に対する計測にもとづいて生成する手法を提案する。具体的には、現実的な計測自由度のもとで試行的な変形による非破壊的な計測をとおして、力学的変形モデルのパラメータを決定する。また、その実現の可能性についてシミュレーションにより検証する。 変形モデルの生成は、仮想物体変形モデルと実物体とに同一の力を作用し、その際の変形を一致させるように変形モデルの特性パラメータを選び、これによって実物体の変形特性を推定することでおこなう。仮想物体変形モデルとして有限要素法による線形モデルを、同定法として共役勾配法を用いることで、上述の推定を実現した。 実験では、物体の変形特性の計測をシミュレーションにより仮想的に行い、この結果を用いて上述の手法によりパラメータの推定を行った。物体が1、2、64種の材料により構成されている場合について実験をおこない、いずれについても計測に用いたモデルのパラメータにほぼ等しい値を得ることかできることを示した。これにより、提案手法の実現の可能性を確認した。 一方、獲得された変形モデルを実時間で提示する手法に関する検討もおこなった。上述の手法では、仮想物体の変形特性が線形有限要素モデルとして得られる。一般に有限要素モデルは計算量が多く実時間での変形シミュレーションが困難とされてきた。本研究では、指先が物体に対して与える変位境界条件を力境界条件に置き換えることで、全体剛性マトリクスを保存し、あらかじめ計算された逆剛性マトリクスを利用することで実時間の変形と力の提示を実現した。
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[Publications] 広田光一,金子豊久: "仮想物体の弾性モデルに関する検討" 計測自動制御学会論文集. 34・3. 232-238 (1998)
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[Publications] 田中,広田,金子: "力覚表現を考慮した仮想物体の変形手法" 情報処理学会論文誌. 39・8. 2485-2493 (1998)
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[Publications] 広田光一,金子豊久: "柔らかい仮想物体の力覚表現" 情報処理学会論文誌. 39・12. 3261-3268 (1998)
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[Publications] K.Hirota,M.Hirose: "Implementation of partial surface display" Presence(MIT Press). 7・6. 638-649 (1998)
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[Publications] 広田,高橋,金子/他: "手術シミュレーションのための軟らかい臓器のモデルと操作環境" Medical Imaging Technology. 16・1. 31-42 (1998)
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[Publications] 広田,加藤,金子: "成長を考慮した樹皮のCGモデル" 情報処理学会論文誌. 39・11. 3027-3034 (1998)