1998 Fiscal Year Annual Research Report
都市自治体の情報機器導入に着目した情報化過程の段階モデルの構築
Project/Area Number |
09780395
|
Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
五十嵐 寧史 創価大学, 工学部, 講師 (80222842)
|
Keywords | 自治体 / 情報化 / 人口動態 / 業務負荷 / パソコン / 汎用機 / 情報化水準 / 統計的検定 |
Research Abstract |
自治体組織は企業に比べて情報機器の装備率が1〜3桁低く情報化が遅れている。また民間企業の情報化進展の要因である競争上の優位を求めての情報機器導入という説明が成り立たないため、その情報化進展は独自の視点で考える必要がある。 進展の水準として自治体職員一人当たりの機器台数をとると、市に限っても汎用機、ワープロ、パソコンのいずれも数百倍の開きがある。この差異と統計的に有意とされた要因は既存研究では自治体の「人口規模」「組織規模」「財政力指数」「地域性」が提出されたが、これらがなぜ情報化水準に関係するのかの因果的な解釈は仮説の段階に留まっていた。 本年度は平成9年度に作成したデータベーに加え、昭和15年から平成2年までの国勢調査報告から全国全市の住民人口時系列データベースを作成し、人口動態と情報化水準の関係を統計的検定により分析した。日本の人口動態は1960年前後から1970年頃まで戦後最大の純移動率であった。この時期の三大都市圏の自治体は激しい人口流入にさらされ、業務負荷も急激に増大した。そのため人口流入地域の自治体で汎用機導入が先行した経緯がある。また人口流入側の地域は、それ以後の「人口規模」「組織規模」に密接な関係がある。さらにl960年代の人口移動は産業が立地しつつある地域への移動であることから人口流入地域は「財政力」もゆたかであると考えられる。またどこの「地域」(県)であったかが社会増減とも関係する。これらの前提から人口流入地域であったか否かが他の要因と情報化水準と関係しているとの立場に立ち、統計的検定を行った。この結果、1960年前後の各市の社会増減が1990年現在の各市の汎用機・パソコンの機器導入水準と有意な関係にあり、過去の業務負荷が現在の情報化水準に影響を与えている可能性があること、「地域」が要因群の原因と考えられることなどを実証した。以上から4つの要因群と情報化の関係を人口動態という視点から包括的に解釈可能とした。
|
Research Products
(1 results)