1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780401
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢澤 則彦 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (60250859)
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Keywords | 不動産価格 / 価格の幅 / バイアス / 評価額 / 関数型 |
Research Abstract |
不動産の異質性、不動産取り引き回数の少なさ、立地条件の異なる物件の存在、住み分けが行われている状況、市場参加者が非常に少ないこと等々が影響して、不動産価格が一つの均衡値に留まらない。結果としてコアが存在し、「価格の幅」が存在することは理論的に納得できる。しかし,実際に「真の価格」に比して「鑑定士」の評価額や「ヘドニック価格理論」による評価額がどれくらい乖離しているかは一般に計測不可能である。そこで,「評価値(額)の差」は必ずしも「真の評価値からのバイアス」を意味するものではなが,「関数形の異なる一団の推定式群によって与えられる各々の評価値」,即ち,「想定し得る可能な限りの異なる変数の組み合わせ」,および,「関数形のバラエティーさ」が不動産価格の幅のプロキシとなるであろうという観点から実証研究を行った。これらのバラエティーさから発生する不動産価格の差は,たとえ各市場価格関数と付け値関数の理論的整合性が成立していてもなおも,各々の評価値に影響を与え続けると考えられる。実証の結果,関数形と変数の選択の可能な限りの組み合わせパターンの推定値を比較すると,そのレンジは評価価値自体の大きさ(金額規模)よりも遙かに大きな幅(バイアス)を持っていることが確認された。複雑な非線形の市場価格関数の構造を的確に説明し得る,あてはまりの良い関数形が見つかれば見つかるほど,つまり,その関数形がより複雑に変化する非線形関数であるが故に,任意の特性レベルに対する限界的な便益評価値(接線の傾き)は多様な値をとるようになり,評価値の頑健性が失われて行く現象を,あくまでも事例による検証段階ではあるが,確認することができた。
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