1997 Fiscal Year Annual Research Report
情報通信ネットワークに対する待ち行列モデルの適用とその漸近的性質に関する研究
Project/Area Number |
09780405
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤本 衡 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (30282875)
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Keywords | 直列型待ち行列システム / 擬出生死滅過程 / 相型分布 / 漸近解析 |
Research Abstract |
本研究では到着間隔およびサービス時間が相型分布に従うような3段直列型待ち行列システムの定常分布に関する漸近的な性質を取り扱っているが、本年度は以下に示されるような新たな成果が得られた。 1.既に得られている2段直列型待ち行列システムに関する理論的成果を利用して、3段直列型待ち行列の定常分布を数値的に得るための計算法を改良し、またこれを高速計算用ワークステーション上に実装した。 2.上述の数値計算法によって求められた3段直列型待ち行列の定常分布の数値解を分類・吟味し、定常分布の漸近的性質を予想した。その結果、定常分布の裾は幾何的に減衰しているであろうという予想が得られた。さらに、定常分布の裾には減衰率が方向によって異なるという予想がなされた。これらの性質は、いずれも2段直列型待ち行列システムで見られた性質よりさらに複雑であると考えられるが、その本質はよく類似していると考えられる。 3.この予想に基づき、2段直列型待ち行列システムに関する理論的成果の拡張にとりかかった。これは、一般に「擬出生死滅過程」と呼ばれる確率過程の理論を援用したものであるが、現段階では従来の理論を直接3段直列型待ち行列に適用できないということが明らかになっている。そこで、来年度はこの障壁を乗り越えるための理論に注力する。
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