1997 Fiscal Year Annual Research Report
パルス波形に位置の情報を持たせた新しい放射線位置検出器の開発
Project/Area Number |
09780448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70216753)
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Keywords | MSGC / ヒビ例計数管 / PSD / 位置検出器 / X線 |
Research Abstract |
SPring-8などに代表されるSR施設の急速な展開により、高輝度でコヒーレント性の良い線源に対応し、一回の測定で多くの情報量のとれる放射線画像検出器が求められつつある。光子計数型の放射線画像検出器は、入射放射線強度検出の定量性に優れ、リアルタイムに多くの情報が得られる利点があり、従来より用いられてきたが、最近特にマイクロストリップガス検出器(MSGC)に代表される微細加工技術を利用したガス型の放射線画像検出器が大きく進歩している。本研究は、MSGCへの適用を前提とした新しい放射線位置検出方法として、信号の波形情報を用いた位置エンコーデイング方式を提案し、それに基づいた放射線画像検出器および信号処理システムの試作を通じて、最近その応用が期待されつつあるディジタル信号波形処理技術を有効かつ積極的に利用するシステムの構築を行うことを目的として研究を行っている。これまでに本年度の研究として以下のように実施した。まず、シングルワイヤーの比例計数管においてカソード・アノード間の形状を連続的に変化させ、信号がワイヤーの各場所において変化するような検出器を作成し、イオンの成分による信号波形の変化についての基礎データを得た。この際VXIバスとGPIBを使用したデータ取得系の整備を行った。得られた基礎データをもとにして、いくつかの製作可能な信号パターンの形状に対して観測されるパルス波形の入射位置による変化を計算し波形変化から位置の検出が可能であるとの見通しを得たので、イオン信号のドリフト時間が入射位置に応じて変化するような電極パターンを設計し、有感面積4cm×4cmのMSGCの試作を行い、実際に信号入射位置に応じてイオンの成分が変化することの確認を行った。
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