1998 Fiscal Year Annual Research Report
パルス波形に位置の情報を持たせた新しい放射線位置検出器の開発
Project/Area Number |
09780448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70216753)
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Keywords | MSGC / 比例計数管 / PSD / 位置検出器 / X線 / FADC |
Research Abstract |
光子計数型の放射線画像検出器は入射放射線強度検出の定量性に優れ、リアルタイムで多くの情報が得られる等の利点がある。微細加工技術を利用したマイクロストリップガス検出器(MSGC)においては、電極構造を自由に設計できるという利点があるので、CADを利用してカソードの形状を工夫することを考え、通常の平行配置とは異なる配置をもつアノード・カソードによるMSGCの特性改善を試みた。 本年度は、アノード・カソードの間に新たにグリッドを導入した電極パターンを考案・設計し、粒子のアノードに平行な方向の入射位置に応じてカソードにおける電荷収集時間が異なる信号が得られるような検出器を試作した。この場合グリッドを導入することで、カソード形状に関わらずアノード付近の電場を一様にし、有感領域全体にわたって増幅度を均一にする効果がある。アノードに対して直角な方向の位置検出は従来用いられている電荷分割法などにより可能であるので、このような構造で表面の電極のみで2次元の位置検出ができることになる。X線照射で原理の実証を行った後に、HIMACにおいて400MeVのNeビームをコリメートして試作検出器に照射し、測定を行ったところ、位置に応じた信号ピークを観測した。現状では位置分解能は2mmFWHM程度であるが、今後電極形状の最適化を行うことで改善が可能であると考えられる。これらの研究成果は、日本原子力学会1998年秋の大会、1998 IEEE Nuclear Science Symposium等において発表した。なお、グリッドの導入がMSGCの電極構造に対して新たな柔軟性を与えることが分かったので、更にグリッドを効果的に利用するよう、アノードのごく近傍から10μm程度のギャップを介して多数本のグリッドを配置し、それぞれ電位を与えるマルチダリッド構造を考案し、高計数率時の特性改善を試みている。
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