1997 Fiscal Year Annual Research Report
二重ビーム照射を用いた照射下材料挙動に及ぼすPKAエネルギースペクトル効果の研究
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09780449
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩井 岳夫 東京大学, 原子力研究総合センター, 助手 (30272529)
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Keywords | 二重イオンビーム照射 / 超微小押し込み試験 / 照射硬化 / 空孔型欠陥 / 陽電子ビーム / 鉄合金 |
Research Abstract |
本年度は二重ビーム照射された材料特性変化の評価法を検討した。マクロな材料特性変化評価法としては超微小押し込み試験の適用性について実験的に検討し、二重ビーム照射によって生成する欠陥の検出に有効な陽電子ビーム測定装置の製作も並行して進められた。 試料として電解鉄を用い、東大原総センター重照射研究設備(HIT)のIMVタンデムと3.75MVバンデグラフで生成する4MeVのニッケルイオンと1MeVのヘリウムイオン(入射角18度)を試料温度300℃で同時に照射した。ニッケルによるはじき出し損傷量は0.1dpa、appmHe/dpa比は0、5、50の三段階に設定した(いずれも表面から1μmまでの平均値)。同等量のヘリウムのみの注入も行った。超微小押し込み試験には島津製作所製のDUH-201を使用し、室温で照射面に対して垂直にビッカース圧子を押し込み、荷重-押し込み深さ曲線を得た。荷重5gfで通常のマイクロビッカース硬さを測定した場合、ヘリウムの単独照射材では注入量に伴って硬化が増大したが、ニッケル照射材では同時照射ヘリウムの影響は顕著でなかった。押し込み時の荷重Lが変位dの2次式で表されると仮定すると、L/dをdの関数としてプロットすればその傾きから硬さが評価できる。この方法に従って評価すると、ニッケル単独照射材では深さ0.15μm付近で傾きが変化し、その深さ以上では未照射材での傾きに近づいた。このことから、約1μmのニッケルイオン照射層の硬化の評価には、押し込み深さ0.15μm程度までの押し込みが適していると考えられる。 陽電子ビーム測定装置の製作は9年度中に完了し、現在試運転中である。注入陽電子エネルギーは30kVで、注入エネルギーを変えることによって空孔型欠陥の深さ分布に関する情報を得ることができる。今後は陽電子ビームのデータと押し込み試験のデータを有効に活用し、PKAエネルギースペクトルの効果について検討を行う。
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[Publications] Takeo Iwai, Naoto Sekimura and F.A.Garner: "Effects of helium on void swelling behavior of vanadium alloys using dual ion beam irradiation" Effects of Radiation on Materials : 18th International Symposium. ASTM STP 1325(印刷中). (1998)
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[Publications] 加藤雄大、室賀健夫、岩井岳夫、本島修: "微小押込み試験技術を用いたMeVイオン照射材の硬度評価" 日本金属学会誌. 61・3. 191-198 (1997)