1998 Fiscal Year Annual Research Report
Fe-Cr-Ni合金における中性子照射損傷の初期過程
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09780457
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徐 〓 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (90273531)
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Keywords | 中性子照射 / 照射速度 / 陽電子寿命測定 / マイクロボイド |
Research Abstract |
使用が長期間にわたる原子力材料の開発には、高エネルギーの中性子、イオン及び電子線を用いた照射研究が行われている。各照射で得られたデータを比較するため、それらの照射の相関を求めることが重要である。一般的に照射損傷組織の発達は照射温度、粒子エネルギーのスペクトルだけではなく、損傷速度にも依存する。今年度は昨年度に京大原子炉で実施した損傷速度が約2桁違う中性子照射により損傷速度の欠陥発達過程に及ぼす影響を調べた。 試料としてはFe-Cr-Niモデル合金とそれ以外の純金属Au、Cu、Ni、Fe、V、及びFe-Cu合金(Fe-0.15Cu、Fe-0.3Cu、Fe-0.6Cu)、V合金(V-10Ti、V-20Ti)である。照射温度は300℃、損傷速度は4.4x10^<15>n/m^2secと3.9x10^<17>n/m^2secであった。両方の照射量はほぼ同じ、約7x10^<21>n/m^2(E>1MeV)であった。照射後、透過型電子顕微鏡の観察、陽電子寿命測定及び超微小硬度計による硬さ試験を行った。 Fe-Cr-Niモデル合金及び純金属における陽電子寿命測定の結果は3つグループに分けられる。グループ1は損傷速度の増加と共に、マイクロポイドの密度は増加し、サイズは大きくなる(Fe-Cr-Ni、Fe、Cu、V)。グループ2においてはマイクロボイドの密度とサイズは損傷速度にほとんど依存しない(Au)。これに対して、グループ3はグループ1に反し、損傷速度の増加と共に、マイクロボイドの密度は減少し、サイズは逆に小さくなる(Ni)。これらの結果は原子空孔移動の活性化エネルギーから説明ができる。 Fe-Cu合金においては、Cuの量の増加と共にマイクロボイドの密度の変化は小さいが、サイズは減少する。これに対して、Cuの量の増加と共に試料の硬さは増加する。試料の硬さの増加は照射によって形成された転位ループ、マイクロボイドの密度に依存するだけではなく、照射中に形成された析出物の密度も依存する。Cuの量が増えると、析出物の密度も増える。また、損傷速度の速い照射より損傷速度の遅い照射のほうがマイクロボイドのサイズは大きく、硬さは増加する。これはCu析出物の形成はマイクロボイドの形成と関係すると思われる。 V-Ti合金においては、損傷速度の速い照射のほうがマイクロボイドのサイズは大きい。Tiの量の増加と共にマイクロボイドの形成は難しくなる。この原因はマイクロボイドの形成に寄与するV合金の不純物酸素がTiにトラップされることと考えられる。
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Research Products
(1 results)