1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780458
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
泉 佳伸 大阪大学, 工学部, 助手 (60252582)
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Keywords | パルスラジオリシス / 放射線化学 / 耐放射線性 / 液体アルカン / 中間活性種 / 芳香族化合物 / 芳香族性 / ジフェニルアルカン |
Research Abstract |
耐放射線性高分子材料の開発の為に必要な基礎データを収集することを目的に、ポリエチレンのモデル化合物として液体n-ドデカンを用い、種々の保護剤を添加した際の放射線化学反応の初期過程をナノ秒パルスラジオリシス法で追跡した。脂肪族であるデカリンを添加した系では無添加の液体n-ドデカンの系と反応にほとんど違いが見られなかったが、芳香族のベンゼンや水素化芳香族のテトラリンを添加した系では、添加剤によってn-ドデカンの励起状態やカチオンラジカルが効率的に捕捉された。又、ビフェニル、ナフタレンを添加した系では励起状態やカチオンラジカルが更に効率良くに捕捉され、照射によって生成した熱化電子も極めて効率良く捕捉された。以上より、添加する保護剤の芳香族性が高くなるほどイオン化ポテンシャルや励起準位が下がり、中間活性種との反応性が増すことが示された。又、ジフェニルメタンやジフェニルエタンなどのジフェニルアルカン化合物は熱化電子との反応性に乏しく、ベンゼンやテトラリンと同様の挙動を示すことが明らかになった。 G. C.による生成物分析の結果から、中間活性種との反応性が高い保護剤ほど分解の収率を抑制する効果があることが分かった。特に、励起状態、カチオンラジカル電子のいずれとも反応性を有するナフタレンは、100mMの濃度で添加しただけで分解収率を50%以下に抑えることが明らかになった。
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