1997 Fiscal Year Annual Research Report
太陽電池応用を目指したCISS薄膜の作製およびその電子状態の解明
Project/Area Number |
09780462
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
山本 幸男 福井工業高等専門学校, 電気工学科, 講師 (50182655)
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Keywords | 薄膜太陽電池 / エキシマレーザーアブレーション / CIS / 混晶薄膜 / バンドギャップ |
Research Abstract |
次世代の薄膜太陽電池として、CuInSe_2やCuInS_2などの薄膜を光吸収層とするものが注目されているが、太陽光をより効率的に吸収するためには混晶化して吸収層のバンドギャップを最適化する必要がある。本研究ではレーザーアブレーション法により混晶系のCuIn(S,Se)_2薄膜(以下CISS薄膜と略称)を作成することを試み、結晶構造等の評価によって同薄膜のなお一層の高品質化を図ることが目的である。 本年度はCISS薄膜の作製および構造評価を行なうことを目的として研究を進めてきた。ターボ分子ポンプを本補助金で購入し、現有のチャンバーと接続した。エネルギー源としてはArFエキシマレーザーを用いた。ターゲットは少しでも製作コストを低減させるため市販の二元化合物粉末(Cu_2S,In_2S_3,Cu_2Se,In_2Se_3)を混合しプレスしたものを用いた。そして成膜は500℃に加熱したガラス基板上で行なった。 その結果、薄膜の組成はターゲット中の化合物の混合割合に依存することが判明した。また、X線回折の結果、同薄膜はCISSの結晶構造をとっており、また、その結晶粒径は混晶化が進むにつれて小さくなることがわかった。加えて透過率測定の結果、作製されたCISS薄膜のバンドギャップはCuInSe_2の1.01eVからCuInS_2の1.53eVまで直線的に変化することもわかった。これらの研究成果は国際会議(IVC-14)で発表する予定であり、現在参加準備中である。 しかし電池の効率に悪影響があるとされるCu_2S等の異相も若干ではあるが存在しており、KCN水溶液による化学処理で除去できるかどうかをXPS等で確認する必要がある。
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