1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780464
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森下 和功 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (80282581)
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Keywords | 照射相関 / 照射損傷 / はじき出しカスケード / 核融合炉材料 / 分子動力学法 / 反応速度論 / 磁気特性評価 |
Research Abstract |
核融合炉材料設計を行う場合、現在、核融合炉照射環境に相当する照射場が存在しないため、核分裂炉照射やイオン照射などの核融合炉環境とは異なった照射場における照射材料データをもとにして、核融合炉環境下での材料のふるまいを予測せざるを得ない状況にある(照射相関の問題)。そこで本研究では、異なる照射場における材料挙動を互いに結び付けるための方法論の確立を目標にして以下の研究を行った。 (1)照射場(放射線の入射粒子の種類、入射粒子エネルギースペクトル、照射温度など)によって材料がどのように挙動するかを原子レベルにかつ第一原理的に調べるために、分子動力学法(MD)を使ったはじき出し照射損傷の計算機シミュレーションを行った。核融合炉第一壁材の有力な候補のひとつであるバナジウムの照射欠陥生成に関しては、欠陥生成効率が高いこと、カスケードクラスター生成効率が低いことが明らかになった。 (2)上記のMD法の適用範囲外である時間スケールを計算機を用いてシミュレートするために、反応速度論に基づいた計算を行った。核融合炉ダイバータ材の有力候補のひとつであるモリブデンに水素を照射した場合の欠陥挙動をモデル化し、入射した水素イオンの表面への再放出過程に関する知見を得た。再放出率は照射による欠陥生成数と水素打ち込み量の比につよく依存することが明らかになった。 以上の(1)(2)の方法を組み合わせることにより、実験で得られる時間スケール領域(ミリ秒オーダー)までのシミュレートが可能になったが、計算結果と実験結果との直接比較は今後行う予定である。 (3)計算機シミュレーションによって導出されるような照射相関パラメータとは別の角度から照射相関パラメータの導出をこころみるために、劣化した材料の磁気測定を行った。現段階においては照射による損傷ではなく、機械的引張によって転位を導入した強磁性材料についての測定であるが、磁気特性は非常に材料損傷に敏感であることが明らかになった。
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[Publications] K.Morishita,N.Sekimura T.Diaz de la Rubia: "A Molecular Dynamics Study for Ultrafast process of Radiation Damage in Materials" Journal of Nuclear Materials. 248. 400-404 (1997)
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[Publications] A.Gilanyi,K.Morishita T.Sukegawa,M.Uesaka,K.Miya: "Magnetic Nondestructive Evaluation of Fatigue Damage of Ferromagnetic Steels for Nuclear Fusion Energy Systems" Fusion Engineering Design.(印刷中).
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[Publications] K.Morishita,A.Gilanyi T.Sukegawa,M.Uesaka,K.Miya: "Magnetic Nondestructive Evaluation of Accumulated Fatigue Damage in Ferromagnetic Steels for Nuclear Plant Component" Journal of Nuclear Materials. (印刷中).
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[Publications] K.Morishita T.Diaz de la Rubia: "A Molecular Dynamics Simulation Study of Displacement Cascades in Vanadium" Journal of Nuclear Materials. (印刷中).