1997 Fiscal Year Annual Research Report
1つ1つの雲粒に含まれる化学種解明のためのサンプリング・分析手法の開発
Project/Area Number |
09780474
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山形 定 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80220242)
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Keywords | 雲粒 |
Research Abstract |
1つ1つの雲粒を慣性衝突により連続して捕集するサンプリング装置を作成し、釜石鉱山の立坑を利用した雲実験施設でその試験をおこなった。サンプリングした雲粒は電子顕微鏡によって1つ1つ明瞭に区別でき、内部に存在する化学成分はエネルギー分散型X線分析装置を用いて分析した。 その結果、いくつかの雲粒内部には鉱物粒子が存在することが判明した。立坑底部から塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化リチウムなどのミストを発生した場合には、それらが雲粒中に存在し、400メートル程度上方に位置する立坑頂部まで輸送されることを確認した。ミスト発生時においても内部に鉱物粒子を含んだ雲粒の存在が確認され、立坑という特殊な環境においてではあるが、鉱物粒子が雲核として働いていることが示唆された。 雲粒の痕跡を電子顕微鏡で観察するために「すす」を衝突面に用いた。この方法は衝突面の作成法が簡便で、フィールドにおいても作成可能である。一方、ポリビニルアルコールを衝突面として用いた場合には、雲粒痕跡の観察が容易である上、X線分析の結果も良好であることがわかった。衝突面には、様々な種類のものを利用できるため、今後試薬薄膜法などを用いればX線分析では不可能な化学形態別の分析なども可能になる。 このサンプラーは、雲粒1つ1つの化学的特性を明らかにするだけでなく、痕跡の間隔から雲粒個数濃度などの情報も得られることがわかった。
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