1997 Fiscal Year Annual Research Report
グラム染色性を指標とした天然細菌群集の特性解析に関する研究
Project/Area Number |
09780475
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊藤 希 筑波大学, 生物科学系, 助手 (90251016)
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Keywords | グラム染色 / 天然細菌群集 / 光学測定 / 画像解析 |
Research Abstract |
本年度は、既設の画像解析装置を用いたグラム染色性の定量的評価手法の確立を行なった。 天然細菌群集の濾過濃縮に用いるメンブレンフィルターについて、その光散乱を低減して透明化した顕微鏡試料を作成するための封入条件を検討した。市販の油浸レンズ用オイルに様々な割合で1-ブロモナフタレンを混合して作成した屈折率の異なる封入剤を用いて光学セルにメンブレンフィルターをマウントし、分光光度計でその透過率を測定した。透過率が最高となる媒質の屈折率は1.600であった。透過率が30%を越えた封入剤を用いて、メンブレンフィルター上に濾過濃縮のうえグラム染色およびアクリジンオレンジにより二重染色した天然細菌試料をスライドグラス上に封入し、透過型光学顕微鏡および落射型蛍光顕微鏡で観察計数した、通常の封入剤(屈折率1.514)ではメンブレンフィルター上のグラム染色細菌は観察困難であり、蛍光染色により観察される細菌の30%程度しか計数されなかったが、屈折率1.600の封入剤を用いると蛍光染色により観察された全ての細菌がグラム染色法でも観察できた。 この封入剤を用いて典型的グラム陽性菌である枯草菌と典型的グラム陰性菌である大腸菌のそれぞれについてグラム染色標本を作成し、その顕微鏡像を赤青緑の三色に分解して画像解析装置に取り込み、細菌像の各色の強度を測定した。緑成分の強度はグラム陽性・陰性によらずほとんど変化がなかったが、赤、青両成分の強度はグラム染色性によって大きく異なった。青の強度と赤の強度との差を、青の強度と赤の強度との和で除したグラム染色性指標を定めこの違いの定量的評価を行なったところ、典型的グラム陰性菌である大腸菌は負の値を示し、グラム陽性菌で枯草菌は主に正の範囲に分布した。この分布の形は細菌の生理状態に依存した変化を示したが、陽性陰性の範囲が変わる事はなかった。
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Research Products
(1 results)