1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780477
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
吉武 英昭 横浜国立大学, 環境科学研究センター, 助教授 (20230716)
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Keywords | 二酸化窒素 / エアロゾル / 鉄酸化物 / プロピレン酸化反応 |
Research Abstract |
対流圏のエアロゾルで濃度が大きく光化学反応を触媒する重要な元素は鉄であるが、合成による表面構造設計に先立ち、本年度は必要な装置の作成の他、天然の鉄酸化物について、表面構造と活性の相関、詳細な速度論的検討を行った。反応は二酸化窒素共存下におけるプロピレンの酸化反応である。多量に天然に存在する鉄酸化物はα-Fe_2O_3,γ-Fe_3O_3,Fe_3O_4であるが、CO,CO_2の生成速度はα-Fe_2O_3>gammma-Fe_2O_3≒Fe_3O_4の順であった。種々の環境物質の運命予測に実験室データを利用するためには、反応速度の圧力依存性が欠かせないが、この目的のためには見かけの圧力依存性を提供すれば十分であると考え、プロピレン、二酸化窒素、水蒸気の分圧をそれぞれ変化させ酸化速度を測定した。この結果、CO生成は、プロピレン圧に対し1/2次、二酸化窒素圧に対し、2/3次の依存性を示し、CO_2生成はそれぞれ1/2次、0次になった。水蒸気依存性については最適値が存在し、CO_2生成に関しては、1200Pa(20℃の湿度として51%)程で速度が最大値をとる。COも水蒸気が存在しない時よりは、少量存在(100Pa,20℃の湿度として4%程度)する条件で速度は最大になった。このように完全乾燥した条件より水の存在下の方が表面酸化速度が大きいことは、環境における表面活性化の点で興味が持たれるので赤外分光法により二酸化窒素の吸着状態を調べた。予め水蒸気が吸着した表面では、乾燥した表面に見られる1604,1580cm^<-1>の吸着|-NO_2他、1276,1238cm^<-1>のN-O間が弱くなった活性化吸着状態が観測された。前者は室温排気による強度減少が少ないのに対し、後者は顕著な減少を示した。表面構造的には吸着水が二酸化窒素の活性化に寄与していることが判明した。
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