1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780481
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
村瀬 潤 滋賀県立大学, 環境科学部, 助手 (30285241)
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Keywords | 湖沼 / 堆積物 / 原生動物 / 細菌 / 浄化 |
Research Abstract |
本研究は、琵琶湖および近隣の内湖を対象として、その底泥における細菌・原生動物の物質代謝機能を明らかにすることを目的としている。今年度は、直接検鏡による底泥中の原生動物の定性的把握を行うとともに、原生動物の迅速な定量を目的とした堆積物からの抽出・計数法の確立を目指した。また、底泥中の原生動物の個体数は有機物含量と高い相関があることがこれまでの研究により明らかにされているので、琵琶湖内で比較対象となる地点を決定するために底泥の全域調査を行った。 琵琶湖底泥で観察された繊毛虫類は、Prostomatida、Hymenostomata、Gymnostomatida、Hypotrichia、Peritrichia、Oligotrichia類と多岐にわたっており、特に優占している種は認められなかった。底泥の有機物含量が高い近隣の内湖(曽根沼)と比較すると、内湖では数100μm以上の大型繊毛虫が多数観察されたのに対し、琵琶湖底泥では80μm以下の小型繊毛虫しか観察されなかった。鞭毛虫も観察されたが、体長が5μm程度であるので種の同定は困難であった。また、底泥粒子による妨害のため直接検鏡による鞭毛虫類の計数は不可能であった。 底泥からの原生動物の抽出法確立の前段階として、水中の鞭毛虫類をPercollを用いた密度勾配遠心により分離し、フィルター上に濃縮した後に染色し蛍光顕微鏡下で観察・計数した。その結果、本法が鞭毛虫の分離濃縮に有効であることが明らかとなった。現在、底泥からの原生動物の分散法および染色法の改良に取り組んでいる。 底泥の全域的調査により、湖岸から湖心にかけての堆積有機物の増加が確認された。また、湖底有機物は表層数cmにおいて活発に分解されていることが明らかになった。 以上の知見をもとに、来年度は特徴的な地点における原生動物の計数を行うとともに微生物活動に及ぼす原生動物の影響を検討する。
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