1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780481
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
村瀬 潤 滋賀県立大学, 環境科学部, 助手 (30285241)
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Keywords | 湖沼 / 堆積物 / 原生動物 / 細菌 / 浄化 |
Research Abstract |
本研究は、琵琶湖および近隣の内湖(曽根沼)を対象として、その底泥における細菌・原生動物の物質代謝機能を明らかにすることを目的としている。今年度は特徴的な地点に於ける原生動物の計数を行うとともに微生物活動の及ぼす原生動物の影響を検討した。また、堆積有機物の炭素・窒素安定同位体比を測定し、分解される有機物の起源を推定した。 琵琶湖と曽根沼の堆積物中の原生動物(繊毛虫)数を直接顕微鏡法によって計数した。堆積有機物の炭素含量と極めて高い正の相関が認められた。表層数mmの酸化層に比べてそれより下層の還元層の繊毛虫数は1けた程度低かったが、有機物含量が高い(TotalC=7.5%)曽根沼の堆積物の還元層では、琵琶湖堆積物の酸化層(TotalC=4%)と同程度の繊毛虫が観察された。このことから、繊毛虫の生息環境の律速要因として有機物量と酸素濃度の両方があると推察された。 琵琶湖堆積物の脱窒活性に及ぼす原生動物の影響を検討した。すなわち、アセチレン阻害法による堆積物スラリーの脱窒活性を測定し、その際スラリーに真核生物の阻害剤であるシクロヘキシミドを添加した。脱窒活性は、シクロヘキシミドの有無による影響を受けず、短期的に見た場合原生動物の脱窒への関与はほとんどないと考えられた。 堆積有機物の窒素安定同位体比は表層で高く下層ほど低くなる傾向が認められた。 外来性の有機物は、内生有機物に比べて窒素安定同位体比が低いことから、分解される有機物は主に湖内の一次生産に由来することが示された。
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