1998 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線による突然変異誘発と染色体損傷との相関性に関する研究
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09780499
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 雅雄 放射線医学総合研究所, 第3研究グループ, 研究員 (70281673)
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Keywords | 重粒子線 / 炭素イオンビーム / LET / 突然変異誘発 / 早期染色体凝縮法(PCC法) / クロマチン切断 / RBE |
Research Abstract |
重粒子線を含む高LET放射線によるヒト正常細胞の突然変異誘発効果とクロマチン損傷誘発の相関関係を調べ、ヒト細胞を突然変異誘発に導くクロマチン損傷の実体、クロマチンレベルでの誘発機構解明を最終目的として、放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療用装置(HIMAC)によって供給された、複数の異なるエネルギーの炭素イオンビームを用いて、今年度は以下の実験を実施した。 (1) ヒト正常細胞のhprt遺伝子座をターゲットとした突然変異誘発の線量効果関係のLET依存性、およびX線に対するRBEの算定。 (2) 早期染色体凝縮法(PCC法)を用いて検出した、Gl期の細胞における修復されないクロマチン切断誘発の線量効果関係のLET依存性、およびX線に対するRBEの算定。 (1)の突然変異誘発効果のLET依存性に関して得られた結果は、今回用いた3種類の異なるLTEの炭素イオンビーム(LET=13、77、100keV/μm)に対して、線量効果関係は0〜3Gyの範囲でほぼ直線的に上昇し、LETが高くなるに従って、突然変異誘発率も高くなることが判った。200kVのX線による線量効果関係に対して、10x10^<-6>の突然変異誘発率を与える点で比較したRBEの値は、100keV/μmの炭素イオンビームが8.3、77keV/μmの炭素イオンビームが3.8、13kecV/μmの炭素イオンビームが1.4であると算定した。 (2)PCC法で検出した修復されないクロマチン切断誘発の線量効果関係は、0〜3Gyの範囲でほぼ直線的となり、そのLET依存性は、突然変異と同様炭素イオンビームのLET値が高くなるにしたがって誘発頻度は高くなることが判った。今回用いた4種類の異なるLETの炭素イオンビーム(LET=13、40、77、101keV/μm)について、X線に対しするRBEの値は、101kcV/μmの炭素イオンビームが5.8、77eV/μmの炭素イオンビームが4.8倍、40keV/μmの炭素イオンビームが2.6、13keV/μmの炭素イオンビームで2.2であると算定した。
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[Publications] M.Suzuki,Y.Kase,T.Kanai and K.Ando,: "Correlation between cell death and non-rejoining PCC breaks by carbon-ion beams." Advances in Space Research. 22. 561-568 (1998)
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[Publications] M.Suzuki,Z.Yang,K.Nakano,F.Yatagai,K.Suzuki,S.Kodama and M.Watanabe,: "Extension of in vitro life-span of gamma-irradiated human embryo cells accompanied by chromosome instability." Journal of Radiation Research. 39. 203-213 (1998)
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[Publications] Z.B.Han,H.Suzuki,F.Suzuki,M.Suzuki,Y.Furusawa,T.Kato and M.Ikenaga,: "Relative biological effectiveness of accelerated heavy ions for induction of morphological transformation in Syrian hamster embryo cells." Journal of Radiation Research. 39. 193-201 (1998)