1998 Fiscal Year Annual Research Report
中国におけるトリレンマ問題の解決策と国際協力のあり方
Project/Area Number |
09780504
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
李 志東 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80272871)
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Keywords | 中国 / トリレンマ問題 / 環境問題 / エネルギー問題 / 環境保護システム / 環境投資 / 環境被害 |
Research Abstract |
1. 中国のエネルギー需給に関する研究 中国は世界第1の石炭資源大国,生産大国,消費大国である.石炭中心のエネルギー需給構造がエネルギーの自給自足をもたらし,高度経済成長に大きく寄与してきた.しかし,その反面,エネルギー需給構造の近代化と国際化,エネルギー利用効率の向上を阻害し,深刻な環境問題を引き起こした.経済成長問題とエネルギー需給問題,および環境問題(国内と地球)を同時に解決するために,石炭中心のエネルギー需給構造の転換が必要にして不可欠である. 2. 中国の環境問題と環境保護システムに関する研究 中国では,政府が70年代末頃から環境保護法の整備等を通じて環境保護に積極的に取り組んできた.しかし,その取り組みは大気汚染のような環境汚染問題と水資源の減少のような自然破壊問題の深刻化を食い止められなかった.何故なのか.その原因は環境保護ジステムが整備されていないことにある. 3. 中国の環境投資に関する研究 環境投資が少ないことが中国の環境悪化の一因である.しかし,なぜ環境投資がすくないのかについては,諸説が存在する.一般的には,経済発展水準が低いことが原因といわれている.しかし,それは根本的な原因ではない.根本的な原因は,環境保護が整備されていないことにより,調達可能な資金が調達漏れになってしまったことである. 4. 国際協力のあり方に関する研究 従来では,中国をも含む途上国との国際協力は紐付きの資金援助と技術援助を中心に展開されてきた.先進国の資金を用いて,先進国の先端技術を途上国に導入するという形である.しかし,このように導入された技術は途上国では十分に利用されていない.その主な原因は人材不足と高運転コストである.人材養成と途上国で利用可能な技術開発に国際協力の中心をおくべきである.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 李志東: "中国の環境問題と環境保護システム" アジアの環境問題(環境経済政策学会年報). 213-227 (1998)
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[Publications] 李志東: "中国における環境保護投資の実態と問題" アジアの環境問題(環境経済政策学会年報). 228-239 (1998)
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[Publications] 李志東(共著): "中国における石油需給と環境問題に関する一考察" 化学経済. 45・12. 12-21 (1998)
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[Publications] 李志東: "中国の環境保護システム" 東洋経済新報社, 305 (1999)