1997 Fiscal Year Annual Research Report
有用プラスミド導入菌による基質多成分系の処理に関する研究
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09780506
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
越川 博元 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70273480)
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Keywords | 有機ハロゲン化合物分解菌 / デハロゲナーゼ / 2,4-D / TOLプラスミド / PCR法 |
Research Abstract |
本研究では、廃水処理の高度化を図る方法の一つとして、多機能な菌を育種しこれを利用した処理系の構築を最終的な目的としている。多機能菌の育種には種々の方法が考えられるが、ここでは実際の利用上制限の少ない、天然のプラスミド導入によるものを想定し、芳香族解裂遺伝子群をコードしたTOLプラスミドを有機ハロゲン分解菌に導入することを目的とした。このため有機ハロゲン分解菌の酵素化学的特徴を検討し、さらにTOLプラスミドの検出方法について実験をおこない、次の成果を得た。 1.2,4-Dichlorophenoxyacetic acid(2,4-D)を唯一の炭素源として生育した有機ハロゲン分解菌から粗酵素液を調製したところ、直鎖のハロ酸からの脱ハロゲン反応のみが確認され、活性染色によりそのデハロゲナーゼは1種類のみであることがわかった。このデハロゲナーゼの精製を試みたところ、分子量68,500(Da)、サブユニット34,000(Da)のホモダイマーであることがわかった。また、至適温度は45〜50℃、至適pH9〜10であり、その基質特異性はプロモ酢酸、ヨード酢酸、2-クロロプロピオン酸、2,3-ジクロロプロピオン酸などの比較的炭素数の少ないハロ酸に対して活性を示すことがわかった。 2.TOLプラスミドを保持するPseudomonas putida HS1(ATCC No.37519)はm-トルイル酸を分解資化できたが、2,4-Dは炭素源としなかった。またTOLプラスミド上の_<xy>lE遺伝子由来と考えられるカテコール2,3-ジオキシゲナーゼが発現していた。_<xy>lE遺伝子に特異的なプライマーによるPCRをおこなったところ、目的遺伝子断片の増幅が見られたことから、使用したプライマーおよびPCR条件はTOLプラスミドの検出に応用できる可能性が示された。
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