1998 Fiscal Year Annual Research Report
有機水銀耐性遺伝子の機能解析と汚染地域の浄化への利用
Project/Area Number |
09780512
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
清野 正子 摂南大学, 薬学部, 助手 (30239842)
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Keywords | 環境汚染 / 水銀浄化 / 水銀耐性遺伝子(mer オペロン) / Pseudomonas K-62 / 水銀輸送遺伝子(merT-merP) / ポリリン酸キナーゼ遺伝子(ppk) |
Research Abstract |
わが国は水俣・新潟における水銀公害を経験している。現在、アマゾン・中国などの世界各地で水銀公害は頻発していおり、水銀汚染地域の浄化は急務の課題である。筆者は、水銀耐性菌Pseudomonas K-62の水銀耐性遺伝子を利用した水銀浄化をモデル系の作成を目指し、以下の知見を得た。これまでに、本菌のプラスミドpMR26上に存在する水銀耐性遺伝子(merオペリロン)は制御遺伝子merR、水銀輸送蛋白質をコードするmerΥ-merP、メチル水銀やフェニル水銀を無機水銀に分解するlyaseをコードするmerB1、無機水銀を金属水銀に還元するreductaseをコードするmerAなどから構成されることを明らかにした。しかし、このままの形で本遺伝子を水銀浄化に利用すると、代謝されて生成した金属水銀が気化して大気中で循環することにより、他の地域を再汚染するという問題があった。そこで、先の制御遺伝子merR、水銀輸送遺伝子merT-merPの下流に、種々の重金属をキレートする活性を有するポリリン酸(リン酸が約500個重合)を生合成するポリリン酸ヤナーゼ遺伝子ppk(Klebsiella aerogenes由来)を挿入したプラスミドを構築し、大腸菌に形質転換した。本クローン9水銀耐性を調べたところ、コントロールに比べて耐性が上昇していた。この結果から、水銀がポリリン酸にキレート結合する形で菌体内に回収される可能性が推測された。今後、本菌の水銀回収能力および環境浄化への利用性について詳細に検討する予定である。
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