1998 Fiscal Year Annual Research Report
高速鉄道トンネル出口から発生する微気圧波の消音装置の開発と発生メカニズムの解析
Project/Area Number |
09780513
|
Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
松林 勝志 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (80239061)
|
Keywords | 圧縮進行波 / 微気圧波 / 消音 / 鉄道騒音 / トンネル微気圧波 / 能動消音 / 低周波騒音 |
Research Abstract |
高速列車がトンネルに突入する際,トンネル内の空気を圧縮し圧縮進行波を生ずる。その進行波はトンネル内を音速で伝わるにつれ,先端の圧力勾配が切り立ち,出口に到達すると正のインパルス音(微気圧波)となって騒音となる。列車速度230[km/h]の測定では坑口間近ではピーク値で150[Pa]以上になる。この消音装置及び制御方法の開発のための基礎的な研究を行った。 微気圧波のピーク音圧レベルは圧縮進行波の圧力勾配に比例する。このことに着目し,圧縮進行波の圧力勾配を制御し微気圧波を消音する。この方法は装置が非常に小型で済むことが特徴で実現の可能性が高い。圧カセンサで進行波を測定し,その波形から圧力タンクに取り付けたバルブを制御し,トンネル出口付近で緩やかな圧力勾配を付加し消音する。実験はφ150[mm],長さ120[m]のトンネル模型で行い,開口面積80[cm^2]のサーボバルブを2台開発・使用した。一台は圧縮進行波発生用,もう一台は圧力勾配制御用である。従来のシステムでのソフトウェア開発が困難になり,圧力勾配制御用のバルブ制御と波形測定に関して,ハード・ソフト共にWindows環境に移行した。消音バルブの制御のために,上流で測定した圧縮進行波波形から,制御ポイントでの波形を正確に予測することが可能かどうかの検証を行った。制御ポイントの波形から微気圧波のピーク値を正確に予測できることも示した。消音用バルブを動作させるソフトウェアを開発し,消音用波形を発生させ試験を行った結果,消音原理を実現するために必要な性能を有することが確認できた。その性能は実際の新幹線トンネルにそのまま応用する場合,タンク圧力を10倍という条件で,10台程度用意すれば消音できることになる。その他,山梨リニア実験線で問題となったトンネル坑口からの低周波騒音についても原因調査を行った。
|
-
[Publications] 松林勝志,小坂敏文,北村敏也,山田伸志: "圧縮進行波の波形が微気圧波に与える影響の解析" 日本騒音制御工学会研究発表会講演論文集. 177-180 (1997)
-
[Publications] 松林勝志,小坂敏文: "圧縮進行波圧力勾配の伝播に伴う変化と微気圧波ピーク値の予測" 東京工業高等専門学校 研究報告書 第29号. 21-24 (1997)
-
[Publications] 小坂敏文,松林勝志: "周波数領域Filtered-X適応アルゴリズムにおける窓関数について" 日本音響学会講演論文集. II. 539-540 (1998)
-
[Publications] 小坂敏文,松林勝志: "プラント同定事前処理のいらない周波数領域能動消音アルゴリズム" 日本音響学会講演論文集. II. 631-632 (1998)
-
[Publications] 松林勝志,小坂敏文: "リニア実験線トンネル抗口から発生する低周波音" 東京工業高等専門学校 研究報告書 第30号. 19-24 (1998)