1997 Fiscal Year Annual Research Report
極低温時間分割X線結晶構造解析による銅アミン酸化酵素の自己触媒活性化機構の研究
Project/Area Number |
09780525
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山口 宏 関西学院大学, 理学部, 専任講師 (10252719)
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Keywords | モノアミン酸化酵素 / トパキノン / 銅タンパク質 / X線結晶構造 |
Research Abstract |
Arthrobacter globiformis由来のモノアミン酸化酵素の活性化型ホロ型の構造を258個の水分子を含めてR値18.4%、Rfree値25.9%の精度で決定した。また、不活性前駆体アポ型の構造をホロ型モデルをもとに精密化し、205個の水分子を含めてR値19.4%、Rfree値23.7%の精度で決定した。 これらの構造を比較することにより、アポ型酵素とホロ型酵素の構造は、主鎖及び側鎖ともに良く一致しているが、Tyr382(アポ型)とトパキノン(ホロ型)および銅の配位子であるHis592に大きな位置の違いがあることを見いだした。ホロ型酵素における銅イオンは、3個のHis残基のイミダゾール窒素と1個の水分子が面配位子となり、もう一つの水分子が軸配位子となって歪んだピラミッド型構造で配位していた。アポ型酵素においては、ホロ型酵素の銅イオンの軸配位子であった水分子とほぼ同じ位置に前駆体Tyr残基のC4位の水酸基が存在していた。これらのアポ型とホロ型の構造の違いより、翻訳後修飾の自己触媒活性化反応の機構を以下のように推定した。 アポ酵素の構造をとっているところへ、銅イオンがそのまま入り込むと、銅イオンの配位構造が四面体構造に近い構造をとることを強く示唆する。無機錯体化学の研究から、平面4配位構造をとる二価銅イオンは酸化還元電位が低く酸素との反応性が低いが、配位構造の平面性がなくなるにつれて、酸化還元電位が上昇して酸化力が強まることが示されている。従って、四面体構造に近い銅イオンは一価に近い状態となって酸素を一電子還元し、分子状酸素を活性化することができると考えられる。 さらに本酵素の解析により、アポ型酵素に水和した銅イオンやホロ酵素に基質アミン類が溶媒中から活性部位に入っていくチャネルと考えられる部分が明らかになった。また、大きな溶媒cavityがサブユニット間に存在することも明らかになった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.C.J.Wilce, D.M.Dcoley, H.C.Freeman, J.M.Guss, H.Matsunami, W.S.McIntire, C.E.Ruggiero, K.Tanizawa and H.Yamaguchi: "Crystal Structures of the Copper-Containing Amine Oxidase from Arthrobocter globiformis in the Holo and Apo Forms : Implications for the Biozenesis of Topaqutnone" Biochemistry. 36巻51号. 16116-16133 (1997)