1997 Fiscal Year Annual Research Report
ホストーゲスト相互作用を利用した高速液体クロマトグラフィーによる有機化合物の分離
Project/Area Number |
09780534
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Research Institution | Hachinohe National College of Technology |
Principal Investigator |
菊地 康昭 八戸工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (40204838)
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Keywords | 分子認識 / ホストーゲスト相互作用 / 高速液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
レゾルシンと長鎖アルキルアルデヒドからなるシクロファン型の大環状化合物の基質選択性や立体選択性を高速液体クロマトグラフィーに応用し、種々の有機化合物の分離について研究を行った。本年度は、以下に示す研究成果が得られた。 1.ホスト被覆カラムの調製とキャラクタリゼーション レゾルシン環状4量体は、オクタデシル基をシリカゲルに化学結合させたシリカ-ODSカラムに疎水性相互作用により被覆することができ、且つ、移動相として水-メタノール系を用いることによりホスト剥離が抑えられることも分かった。ただし、ホスト分子はカラム充填材と共有結合で結合しているわけではないので、長時間の使用によってある程度のホスト剥離は免れない。しかし、ホスト被覆は繰り返し可能なため、カラムの機能回復は容易に行うことが出来る。 2.ホスト被覆カラムによる有機化合物の分離特性 アルコール類、ケトン類、エステル類についてその分離特性を調べた結果、ホスト被覆によって、2種類の効果が認められた。(1)カラム表面の極性の増加;ホスト分子はレゾルシン側を表面に向けてカラム充填材に被覆されているため、カラム充填材の表面の極性が被覆前よりも増加し、その結果、保持時間が被覆前よりも減少するものが多い。(2)ホスト分子との積極的相互作用;先の(1)の効果にもかかわらず、保持時間の減少が少ないものや逆に保持時間が増加しているものがある。これらのものはホスト分子と積極的に相互作用していることが示唆される。 以上の2種類の効果より、これらの有機化合物の分離については、基質選択性や立体選択性が発現することが明らかとなった。なお、これと同時に均一系でのホスト分子との相互作用について検討したところ、クロマトグラフィーの結果を支持することも示された。
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