1997 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインCインヒビター遺伝子の組織特異的発現制御機構の研究
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09780544
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
林 辰弥 三重大学, 医学部, 助手 (00242959)
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Keywords | プロテインCインヒビター / シスエレメント / Sp1結合部位 / AP2結合部位 |
Research Abstract |
プロテインCインヒビター(PCI)は、血液凝固制御因子の活性化プロテインC(APC)に特異的な血漿阻害因子で、α1アンチトリプシンなどと相同な構造を有する血漿セリンプロテアーゼインヒビター(SERPIN)ファミリー蛋白質の1つである。また、PCIは精漿中に血漿中の約40倍も高濃度に存在し、男性不妊症患者精漿中では著しく低下していること、また精子の尖体にも存在し、卵との受精に関わっていることが示唆されいる。これまでに、本奨励研究の補助の基、PCI遺伝子の肝細胞(HepG2)における発現調節領域としては、ヒトPCI遺伝子の5^1上流域(約1.6kb)中のSp1、2個のAP2および1個の逆向きのAP2結合部位を含む上流450bpの領域が重要であること、このうちのSp1結合部位がプロモーターとして、2個のAP2結合部位のうち、Sp1結合部位より上流側のAP2結合部位はエンハンサーとして機能し、逆向きのAP2結合部位および下流側のAP2結合部位は機能していないことをルシフェラーゼ(Luc)をレポーター遺伝子として明らかにし、さらに、それらの部位に対するそれぞれの核蛋白質の結合をゲル移動度シフト解析を用いて明らかにした。本年度は、本研究をさらに発展させ、この上流450bp中の2個のサイレンサー領域(塩基番号-452から-414および-176から-147の領域)に関して、Lucアッセイおよびゲル移動度シフト解析を用いて詳細に検討した。その結果、塩基番号-452から-414の領域中のA-activator結合部位および塩基番号-176から-147の領域中のInterferon γ反応性エレメントがPCIの肝細胞における発現のサイレンサーとして機能することが明らかになった。以上の結果から、PCIの肝細胞における発現のプロモーターとしてはSp1結合部位が、エンハンサーとしてはAP2結合部位が、サイレンサーとしてはA-activator結合部位およびInterferon γ反応性エレメントが重要であることが明らかになった。 現在、A-activator結合部位およびInterferon γ反応性エレメントに結合する核蛋白質の同定を行うとともに、PCIを発現する生殖臓器由来の株化細胞や腎臓由来の株化細胞を検索し、それらを用いて同様の解析を行うことによりPCI遺伝子上の組織特異的発現調節領域の同定を試みている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Usui,M.: "Molecular cloning, expression and tissue distribution of canine lipopolysaccharide(LPS)-binding protein." Biochim. Biophys. Acta. (in press).
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[Publications] Nishioka,J.: "Protein C Inhibitor secreted from activated platelets efficiently inhibits activated protein C on phosphatidylethanolamine of platelet membrane and microvesicles." J.Biol. Chem.(in press).
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[Publications] Hayashi,T.: "Regulation of the human protein C inhibitor gene expression in HepG2 cells:Role of Sp1 and AP2." Biochem.J.(in press).