1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780550
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
梶 裕之 東京都立大学, 大学院・理学研究科・化学専攻, 助手 (80214302)
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Research Abstract |
プロテアーゼインヒビター、シスタチンAの阻害活性発現には、分子のアミノ末端領域が必須であり、申請者らによる一連の逐次欠失変異体の研究から、Pro3-Gly4残基の重要性が明らかとなった。野生型インヒビターの溶液構造解析の結果、シスタチンAのN末端部位はインヒビター分子のC末端領域の方向に向き、分子内で相互作用していた。また、シスタチンAのGly4をVal残基に変異させると失活し、これに伴って反応部位(Val48付近)の骨格構造が変化した。そこで本研究では、N-C末端領域間の相互作用が阻害にどの様な効果を及ぼすかを検討するため、はじめにC-末端領域に変異を導入して、活性の変化、およびこれに伴う構造変化の追跡を開始し、以下のような成果を得た。 1.安定同位体ラベル効率の改善 シスタチンAは大腸菌を用いて発現され、培地に[^<15>N]-NH_4Clおよび[^<13>C]-glucoseを栄養源として加えることにより、シスタチンAに安定同位体ラベルを導入する。発現したタンパク質の約半分は不溶化するので、抽出法、および巻き戻し法を再検討した結果、精製手順の大幅な簡略化とラベル効率の上昇(約2倍)が達成された。 2.C-末瑞領域へのアミノ酸置換導入 シスタチンAのC-末端領域Gly97をAla、Val、Phe、Tyrにそれぞれ置換した。これらの変異に伴う阻害活性の変化は現在解析中である。また同時に、N-C末端領域間をS-S結合で共有的に結合させた上で、N-末端3ないし4残基を欠失させたときの活性変化を追跡する目的で、Gly4あるいはGly5とGly97をそれぞれCys残基に置換した変異体の発現ベクターを構築している。 3.Gly97-TyrシスタチンのNMR測定 シスタチンAを^<15>Nおよび^<13>Cラベルし、3次元NMRを測定した結果、N-末端領域には化学シフトの変化が観察されたが、反応部位付近には、顕著な変化は見られなかった。現在より詳細に検討中。
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