1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒアルロン酸合成酵素遺伝子の改変とマウス個体におけるヒアルロン酸の機能解析
Project/Area Number |
09780553
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
板野 直樹 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助手 (40257712)
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Keywords | ヒアルロン酸 / 合成酵素 / 糖転移酵素 / 細胞外マトリックス / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
ヒアルロン酸合成酵素1遺伝子欠損マウスによるヒアルロン酸の機能解析 ヒアルロン酸合成酵素1(HAS1)の欠損マウスを用いて、生後及び成体の皮膚組織を外科的に採取し、組織学的に正常マウスの皮膚と比較した。その結果、真皮における組織構築に若干の異常を認めた。現在、創傷治癒との関連において解析を進めている。 正常マウス及び欠損マウスより大腿骨を外科的に採取し、その骨密度を測定した。その結果、欠損マウスで有意な骨密度の低下を認めた。また骨の断層写真の解析から、骨構造の異常を認めた。しかしながら、骨の組織学的解析において、これまでのところ正常マウスとの有意な差は観察されなかった。また欠損マウスより単離した軟骨細胞において、ヒアルロン酸合成の亢進が認められた。この結果は、HAS1欠損マウスにおいて、他のHAS遺伝子による機能代償が生じている可能性を示唆している。 正常マウスとHAS1欠損マウスより皮膚線維芽細胞を単離し、これらの細胞にV-srcとH-ras癌遺伝子を遺伝子導入し、培養系でトランスフォームした細胞株を得た。現在、これらの細胞を用いて、発癌や悪性化におけるヒアルロン酸の機能解析を培養下で解析している。
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[Publications] N.Itano, K.Kimata.: "Hyaluronan synthase : New directions for hyaluronan research." Trends in Glycoscience and Glycotechnology. 10. 23-38 (1998)
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[Publications] Y.Yamada, N.Itano, et al.: "The gene structure and promoter sequence of mouse hyaluronan synthase 1(mHAS1)." Biochem J. 330. 1223-1227 (1998)
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[Publications] 板野直樹,木全弘治.: "プロテオグリカン2癌転移におけるヒアルロン酸の役割." 週刊医学のあゆみ. 184. 251-253 (1998)
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[Publications] 板野直樹,木全弘治.: "ヒアルロン酸合成酵素:細胞外マトリックス改変に向けてのシナリオ." 生化学. 70. 1171-1175 (1998)
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[Publications] 板野直樹,吉田衛,木全弘治.: "ヒアルロン酸合成酵素遺伝子改変によるヒアルロン酸機能解析." 蛋白質 核酸 酵素1998年12月号増刊糖鎖生物学. 43. 2387-2393 (1998)
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[Publications] 板野直樹,木全弘治.: "3.細胞外マトリックスと分解1)プロテオグリカン1.プロテオグリカンの構造と機能." 癌転移 転移の分子メカニズムと臨床展望. 医薬ジャーナル社, 102-112 (1998)