1997 Fiscal Year Annual Research Report
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09780562
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
粂 和彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30251218)
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Keywords | 血小板活性化因子 / 増殖因子 / トランスジェニックマウス / 色素沈着 / 受容体 / PAF / メラノサイト / ケラチノサイト |
Research Abstract |
今年度の研究により、以下の点を明らかにした。 1.血小板活性化因子(以下PAF)受容体を高発現するトランスジェニックマウスに於いて、色素沈着と表皮の肥厚、つまりケラチノサイト数の増加が起きる。この皮膚色素沈着部位での導入遺伝子の発現をin situ hybridization法を用いて調べたところ、ケラチノサイトにはPAF受容体遺伝子が多量に発現していたが、メラノサイトには発現が認められなかった。この結果より、PAFがケラチノサイトに対して増殖因子として働き表皮を肥厚させ、その結果、ケラチノサイト由来の何らかの増殖因子の影響で、メラノサイトの増殖が惹起されていると考えられた。 2.トランスジェニックマウスの生育段階を追って、表皮を調べたところ、出生時より既に野性型マウスとの差が認められ、週令を追う毎に、その差がより顕著になっていくことがわかった。 3.ケラチノサイトの分化のマーカーであるサイトケラチンK1及び、フィラグリンの免疫染色結果、及び、増殖細胞の比率を表すin vivoでのBrdU取り込み細胞の測定により、基底細胞の増殖が亢進して、表皮層が厚くなっているが、角化細胞への分化は、ほぼ正常に近く保たれていることが示された。 4.一方、PAF受容体欠損マウスでは、皮膚の異常は認められなかったことから、PAFが皮膚細胞の増殖には必須ではなく、調節因子として働いていることがわかった。 以上のことより、培養細胞系でわれわれが既に明らかにしてきたように、PAF受容体が増殖の亢進を引き起こすことが、トランスジェニックマウスを用いたin vivoの系でも示された。また、まだその実体は不明だが、ケラチノサイトから、メラノサイトに何らかの増殖因子が分泌される可能性も示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Ishii et al.: "Bronchial hyperreactivity,increased endotoxin lethality and melanocytic tumorigenesis in transgenic mice overexpressing platelet-activating factor receptor." EMBO J.16. 133-142 (1997)
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[Publications] K.Kume & T.Shimizu: "cDNA cloning and expression of murine 1-acyl-sn-glycerol-3-phosphate acyltransferase." Biochem.Biophys.Res.Commun.237. 663-666 (1997)
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[Publications] K.Kume, I.Waga & T.Shimizu: "Microplate chromatography assay for acetyl-CoA : lysoplatelet-activating factor acetyltransferase." Anal.Biochem.246. 118-122 (1997)
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[Publications] K.Kume & T.Shimizu: "Platelet-activating factor(PAF)induces growth stimulation,inhibition,and suppression of oncogenic transformation in NRK cells overexpressing the PAF receptor." J.Biol.Chem.272. 22898-22904 (1997)
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[Publications] S.Tabuchi, K.Kume et al: "Lipid mediators modulate NMDA receptor currents in a Xenopus oocyte expression system." Neurosci.Letters. 237. 13-16 (1997)
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[Publications] N.Uozumi, K.Kume et al: "Role of cytosolic phospholipase A(2)in allergic response and parturition." Nature. 390. 618-622 (1997)