1997 Fiscal Year Annual Research Report
ピルビン酸キナーゼのアロステリック調節機構の解明とその生理的意義
Project/Area Number |
09780569
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鄭 文玉 (池田 義孝) 大阪大学, 医学部, 助手 (60252657)
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Keywords | ピルビン酸キナーゼ / アロステリック効果 / アイソザイム |
Research Abstract |
解糖系の重要な調節酵素であるピルビン酸キナーゼ(PK)はホスホエノールピルビン酸(PEP)のリン酸基をADPに転移しATPを生成する反応を触媒する。哺乳類にある4つのアイソザイムのうちM1以外は基質であるPEPに対してホモトロピックなアロステリック効果を示し、解糖系の中間代謝物であるフルクトース1, 6二リン酸によってアロステリックに活性化される。本研究ではPKがどのようなメカニズムによりアロステリック効果を示すのかを明らかにするために、まずアロステリック効果に重要な役割をもつアミノ酸残基の同定を試みた。アロステリックなM2と非アロステリックなM1は同一の遺伝子からmutually exclusive altermative splicingにより生成し、これらの一次構造上の違いは一つのエクソンにコードされる領域中の約30アミノ酸残基に限られている。また、この領域はアロステリックな相互作用に重要と考えられているサブユニットの接触面に位置している。これらのアミノ酸残基を互いに置換した変異酵素を作製し、速度論的な解析を行った。その結果、M1のAla-398をM2のArgに置換することによりM1を典型的なアロステリック酵素に変換することができた。このことからM1の非アロステリックな性質を維持するのにAla-398が重要であることがわかった。一方、M2アイソザイムの変異酵素の解析から、M2のサブユニット接触面にあるシステイン残基(Cys-423)が、アロステリック相互作用を引き起こす構造変化に必須な役割をもつことが明らかとなった。さらに、このシステイン残基の様々な変異酵素の速度論的な性質と化学修飾を用いた解析から、このシステイン残基の解離状態に応じて側鎖の疎水性が変化することにより活性型および不活性型コンフォメーションの平衡が調節されることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y. Ikeda: "Conversion of non-allosteric pyruvate kinase isozyme into an allosteric enzyme by a single amino acid substituion." J. Biol. Chem.272. 20495-20501 (1997)
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[Publications] Y. Ikeda: "Allosteric regulation of pyruvate kinase M2 isozyme involves a cysteine residue in the intersubunit contact." J. Biol. Chem.(in press).