1997 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド前駆体タンパク質の細胞外放出機構の解析およびその生理的意義の解明
Project/Area Number |
09780579
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
東 昌市 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10275076)
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Keywords | アミロイド前駆体タンパク質 / ゼラチナーゼA / MT-MMP / プロセシング / マトリックスメタロプロテアーゼ |
Research Abstract |
これまでの研究成果から、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)のひとつであるゼラチナーゼAか、あるいはMT-MMPが細胞膜表層でアミロイド前駆体蛋白質(APP)に作用すると、通常細胞外に放出されているAPP細胞外領域(sAPP)より短い断片sAPPtrc(80kDa)が切り出されることを見い出した。このプロセシング過程ではβAPを含むAPPのCOOH末端領域が細胞上に残されるため、βAPの産生が亢進される可能性があり、アルツハイマー病発症との関連においても興味深い。本年度はMMPsが関与するAPPの新規プロセシングについて詳細に調べた。まず,sAPPtrcの構造を調べる目的で、この蛋白質を精製し、NH_2-末端配列分析を行ったところ、その配列はsAPPと同一であることが判明した。したがって、sAPPとの分子量の差異はCOOH末端プロセシング部位の違いに因ることが確認できた。一方、前駆体型ゼラチナーゼAはMT-MMPおよびTIMP-2と3分子複合体を形成しつつ、細胞膜に結合し、膜上で活性型へと変換されるが、sAPPtrc産生に3分子複合体中のゼラチナーゼAが関わるのか、あるいは、膜ドメインをもつMT-MMPがAPPを直接切断するのかについては不明であった。そこで、細胞培養液にゼラチナーゼAを添加し、sAPPtrc産生を調べたところ、添加したゼラチナーゼAの濃度に依存して、sAPPtrc産生量が増加することが判明した。さらに、ゼラチナーゼAから単離したヘモペキシンドメインを用いて3分子複合体形成を阻害すると、sAPPtrcが消失することなどから、sAPPtrcの産生には細胞膜に結合したゼラチナーゼAが関与することが推定された。以上の結果は、MT-MMPとゼラチナーゼAの両方がする環境下で特異的にsAPPtrcが産生することを示唆している。近年、sAPPのCOOH末端領域に神経保護作用があることが見い出されているが、この領域を欠くsAPPtrcがsAPPに代わって産生されることにより、神経変性死が促進される可能性も考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shouichi Higashi: "Conformation of factor VIIa stabilized by a labile disulfide bond (Cys-310-Cys-329) in the protease domain is essential for interaction with tissue factor." The Journal of Biological Chemistry. 272. 25724-25730 (1997)
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[Publications] Shouichi Higashi: "Moleculat interaction between factor VII and tissue factor." International Journal of Hematology. (発表予定). (1998)