1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780588
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
松岡 邦枝 横浜市立大学, 医学部, 助手 (40291158)
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Keywords | アレルギー / アレルゲン / IgE / トランスジェニックマウス / アトピー性疾患 / 卵白アルブミン / ダニ抗原 / トリニトロフェニル(TNP) |
Research Abstract |
アトピー性疾患は現代病として大きな社会問題にもなっている。アトピー素因の一つとして、抗原特異的なIgE産生の亢進があり、アトピー性疾患の患者の血中IgEa度は正常人の数千倍にもなり得る。アトピー性疾患と同様な症状を誘発し、その発症のメカニズムを生体内で再現したモデル動物を作製することを目的として、抗原特異的IgEトランスジェニックマウス(Tgマウス)を作製した。 アトピー性皮膚炎の主要アレルゲンとして重要な卵白アルブミン(OVA)、ダニ抗原(Derf II)、及びこれまでのアレルギー研究でしばしば抗原として用いられてきたトリニトロフェニル(TNP)に特異的なIgE遺伝子(H鎖・L鎖)を導入遺伝子としてそれぞれ構築した。等モルのH鎖及びL鎖に対応する導入遺伝子断片をBALB/c受精卵前核へマイクロインジェクションし、Tgマウスを作製した。これまでに抗TNP-IgE導入遺伝子陽性マウスを3系統得た。いずれの系統においても正常マウスと比較して100-500倍の血中IgE濃度を示した。また、発現しているlgEのほとんどがTNPに特異的なものであった。このTgマウスの耳介にTNP基を持つ塩化ビクリルを塗布したところ、塗布後1時間をピークとして皮膚の肥厚が認められた。一方、Tgマウスに抗原(TNP-BSA)を静脈注射した結果、体温の著しい低下及び血管透過性の亢進が認められ、全身性アナフィラキシーを誘発することが可能であることが示された。すなわち、このアレルゲン特異的IgE-Tgマウスにおいて、その生体内で典型的なI型(アトピー性)アレルギー反応を再現することが可能であった。抗原による事前の感作無しに、ただ1回の抗原曝露のみで確実に抗原特異的なアレルギー反応を誘発することが可能であり、非常に有用なアトピー性疾患モデル動物となるものである。
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Research Products
(1 results)