1998 Fiscal Year Annual Research Report
腸内連鎖球菌に存在するATP駆動型多剤排出輸送担体の機能解析
Project/Area Number |
09780591
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
奈良 敏文 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (30241350)
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Keywords | 多剤排出タンパク質 / 多剤耐性 / 腸内連鎖球菌 / 大腸菌 / クローニング / 16SrRNA / 発現調節タンパク質 |
Research Abstract |
平成9年度にショットガン法により多剤耐性腸内連鎖球菌Enterococcus hiraeからethidium bromide(EtBr)とacriflavine(Acr)に耐性を示すlocusを単離した。平成10年度は、そのcharacterizationを中心に解析を進めた。 このクローンは、その制限酵素地図、塩基配列の解析から16SrRNA geneの全長を含むことが解った。E.coliに導入して薬剤耐性表現型を詳細に検討したところ、EtBrとAcrに耐性を示す。deletion mutantを作成し耐性の有無を検討した結果、EtBr耐性は16SrRNAの両端どちらを欠失させても耐性は消失した。従って、耐性因子は16SrRNA分子そのものであると考えられる。一方、Acrに関しては、16SrRNAの3'端300bp欠失体も耐性を示し、Acr耐性に関わる部位はEtBr耐性のそれとは異なると考えられる。野生型16SrRNA領域もEtBr、Acr両者に耐性を示し、この性質がE.hirae16SrRNAに潜在的に備わる性質であることが解った。色素系薬物に対する耐性機構はこれまで膜タンパク質による排出のみが知られていたが、このクローンでは細胞内のEtBr蓄積量の低下は見られず、逆に上昇していた。16SrRNAが薬物のbinderとして働き、細胞内薬物濃度を低下させることも想定されたが、耐性を示さない3'端欠失体においても同様の薬物蓄積量の上昇が見られたため、binderの様な単純なメカニズムではないことが解った。これまでにない新規な薬剤耐性機構であると考えられる。
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