1997 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌化学感覚レセプターの膜を介したシグナル伝達能の解析
Project/Area Number |
09780604
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川岸 郁朗 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80234037)
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Keywords | 温度 / 感覚 / 細菌 / 受容体 / センサー / 走性 / 分子認識 |
Research Abstract |
大腸菌の「味覚」センサーである化学感覚レセプターについて以下のような知見を得た. (1)リガンド識別機構の解析.アスパラギン酸レセプターTarとセリンレセプターTsrの間でのキメラの作成および部位特異的変異の導入により,リガンド特異性の決定に関わる残基を特定した(投稿準備中). (2)抑圧変異を利用した膜貫通領域の解析.Tarの第一膜貫通領域(TM1)内の変異A19Kに対する抑圧変異のうち,第二膜貫通領域(TM2)に起こったものについて解析し,サブユニット間抑圧を示す「クラス1変異」と,示さない「クラス2変異」に分かれることを見出した.さらに詳細な解析の結果,クラス1変異の抑圧機構として,TM1-TM2間の塩橋の形成が示唆された.これは,シグナル伝達過程における膜貫通領域の動きを知る上で重要な発見である(投稿準備中). (3)温度受容機構の解析.Tar温度受容能はメチル化を受けると逆転するので,メチル化部位に系統的変異導入を行い,この部位の電荷が温度レセプターとしての機能に重要であるという知見を得た(論文1).さらに,別の実験から,温度受容能の逆転には,わずか1分子のメチル化で充分であるという驚くべき結果を得ている.また,温度受容能逆転を引き起こすTM2の変異についても解析中である. (4)ダイマー間のメチル化酵素を介した相互作用の解析.主要なレセプターは5残基からなる共通配列NWETFをもつ.最近,in vitroでこの配列にメチル化酵素CheRが結合する事が示されている.この配列を欠損したTarは,発現量やシグナル伝達能は正常であったが,適応能,被メチル化能が低下していた.さらに,この表現型はCheRを大量発現することで抑圧された.これは,NWETF配列がin vivoでも確かにCheR結合配列として機能することを示している(論文2).
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Nishiyama: "Thermosensing properties of mutant aspartate receptors with methyl-accepting sites substituted multiply or singly by alanine." J.Bacteriol.179. 6573-6580 (1997)
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[Publications] H.Okumura: "Chemotactic adaptation is altered by changes in the carboxy-terminal sequence conserved among the major methyl-accepting chemoreceptors." J.Bacteriol.180(印刷中). (1998)