1997 Fiscal Year Annual Research Report
ロドプシンキナーゼの特異的基質認識を担う構造要因の検索
Project/Area Number |
09780611
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉川 知志 神戸大学, 医学部, 助手 (90244681)
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Keywords | 光受容体 / 視覚 / 蛋白質リン酸化 / ロドプシン |
Research Abstract |
研究実施計画に基づき以下の実験を行った。 第1に来年度に行う予定のミュータントロドプシンキナーゼの発現の予備的実験として、先にクローン化した天然タコロドプシンキナーゼ遺伝子の大腸菌および昆虫細胞による発現と発現蛋白質の単離を行った。大腸菌においては予想されたサイズのタコロドプシンキナーゼを大腸菌が本来発現する内在性蛋白質を遥かに上回る発現レベルで発現するクローンを得ることができた。現在は発現蛋白質の効率の良い抽出、精製条件を検討している。昆虫細胞においてもタコロドプシンキナーゼ遺伝子を組み込んだウイルス感染株の樹立に成功した。現在は細胞の培養および発現蛋白質の精製条件を検討中である。ウシロドプシンキナーゼやウシβARKとのアミノ酸配列の比較に基づくミュータントロドプシンキナーゼの作製も今後、行う予定である。 第2に、札幌医科大学大黒浩博士のご協力のもと、タコロドプシンのリン酸化部位の決定を行った。膜試料中のロドプシンをリン酸化し、リン酸化部位を含むペプチド断片をプロテアーゼ処理により遊離させたのちHPLCにより個々の断片を単離した。単離したペプチド断片のうちリン酸化アミノ酸を含む断片を質量分析により解析し、タコロドプシンのアミノ酸配列情報をもとにリン酸化アミノ酸を同定した。その結果、主なリン酸化アミノ酸はカルボキシル末端尾部に存在するセリン残基であることが明らかになった。 また、精製タコロドプシンキナーゼに対する抗体を作製し、タコロドプシンキナーゼの組織分布を検討した。その結果、一次構造が比較的広範囲の組織に発現が認められる哺乳動物βARKに極めて類似しているにもかかわらず、タコロドプシンキナーゼは網膜の視細胞外節部以外では全く発現が認められず、脊椎動物のロドプシンキナーゼ同様に光情報伝達系においてのみ特異的に機能していることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)