1997 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類のDNA複製に関与するマウスDNAヘリカーゼBの解析
Project/Area Number |
09780619
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関 政幸 東北大学, 薬学部, 助手 (70202140)
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Keywords | 温度感受性変異株 / DNA複製 / DNAヘリカーゼB / Replication Foci |
Research Abstract |
マウス温度感受性変異株tsFT848細胞では、非許容温度でDNA複製低下及びDNAヘリカーゼB活性の低下が観察されていた。本年度はDNAヘリカーゼBが温度感受性の真の原因か否か決定するため実験を行い、以下の成果をあげた。1)野生株(FM3A)・tsFT848株・復帰変異株(RV848細胞)からRNAを抽出、RT-PCR法にてそれぞれヘリカーゼBcDNAを調製し、それらを直接DNA配列決定した。FM3AとtsFT848/RV848ではアミノ酸724番目にPheからCysとなるミスセンス変異がひとつだけ見いだされた。tsFT848とRV848では全く同じ配列をしめした。よって、tsFT848細胞では実際にDNAヘリカーゼBに変異が入っていることを確認した。2)DNAヘリカーゼBに対するモノクローナル抗体を作製した、この抗体を用いた二重染色実験より、DNAヘリカーゼはPCNAと共局在し、いわゆるDNA Replication Fociにいることを明らかにした。3)DNAヘリカーゼB遺伝子をtsFT848細胞に導入したところ、温度感受性を相補した。4)アンチセンスDNAヘリカーゼB遺伝子を導入した野生株では、アポトーシスを起こす細胞集団が観察された。5)G0期にある停止リンパ球をインターロイキン2で刺激し、細胞周期をまわしたところ、DNAヘリカーゼB蛋白質の顕著な増加を観察した。 以上、DNAヘリカーゼBがtsFT848細胞の温度感受性増殖の直接の原因遺伝子であることをほぼ確定した。すなわち、DNAヘリカーゼBは高等真核細胞でDNA複製に関与することを証明できた初めてのDNAヘリカーゼとなった。
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