1997 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansの新しい細胞死関連遺伝子の検索と解析
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09780622
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 亜砂子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80281715)
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Keywords | プログラム細胞死 / アポートシス / 線虫 / C.elegans |
Research Abstract |
本年度はC.elegansのプログラム細胞死と胚発生期の形態形成に異常を示すcdl-1変異について解析を行った。cdl-1変異は胚性致死であり、(1)最終表現型で死細胞が通常より多く観察される、(2)咽頭が口腔と繋がらない。(3)躰の伸長が不十分である、という複合的な表現型を示す。まず、死細胞が多く観察される原因が、死ぬ細胞の増加によるものなのか、死んだ細胞の貧食・分解の異常によるのかを明らかにするために、既存の死細胞貧食変異と遺伝学的な相互作用を調べた。cdl-1変異と貧食変異であるced-1あるいはced-5との二重変異を作成した結果、観察される死細胞数は相乗的に増加し、cdl-1は既知の貧食経路に属さないことが明らかとなった。したがって、cdl-1変異は新しい貧食経路を構成する遺伝子であるか、あるいは細胞死の実行過程に関与する遺伝子であると考えられる。どちらかを明らかにするために、過剰に見られる死細胞の由来を細胞系譜を調べることによって解析中である。また、cdl-1遺伝子のクローニングも並行して行っている。遺伝学的マッピングの結果、cdl-1遺伝子は第2染色体のマップボジション0.7位置することが明らかになった。この領域のゲノムDNAを含むコスミドをcdl-1変異にマイクロインジェクションすることにより、表現型を相補するDNA断片をスクリーニングし、コスミドクローンT19E10にcdl-1遺伝子が含まれることが示された。現在サブクローニングとマイクロインジェクション相補実験を繰り返すことにより、cdl-1変異を相補できる最小DNA断片を検索している段階である。
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