1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09780627
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桜井 博 金沢大学, 医学部, 講師 (00225848)
|
Keywords | 酵母 / 基本転写因子 / 転写制御 |
Research Abstract |
遺伝子の特異的転写調節において、コアプロモーター構造が重要な役割を持つことが示唆されている。コアプロモーター上には基本転写因子(TFIID,TFIIB,TFIIE,TFIIFとTFIIH)が転写開始複合体を形成する。一方、酵母の転写補助因子Gal11は、RNA polymerase II holoenzyme(holo PNAPII)の構成因子であり、基本因子TFIIEと結合することにより、コアプロモーター構造に依存して基礎転写を制御する。そこで、プロモーター構造特異的な基本因子(特にTFIIE)と補助因子(Gal11)の作用機構について検討した。 1)TFIIEのプロモーター特異的な作用機構 TFIIE遺伝子の温度感受性変異株を用いて、TFIIEはTATAboxに依存した転写には必須であるがTATA-less遺伝子の転写には必要ないことを示した(J.Biol.Chem.272:15936-15942)。現在、様々なコアプロモーター構造を持つ遺伝子について解析を進め、TFIIEの遺伝子特異的な作用機構について更に検討を加えている。 2)Gal11と結合しないTFIIE変異株の解析 Gal11と結合しないTFIIE変異株を作製し、この変異株とgal11変異株における転写調節について調べた。各々の変異株は同様の遺伝子(プロモーター構造)特異性を示したことより、TFIIEとGal11は転写調節段階の同じステップを協調して制御することが示唆された(J.Biol.Chem.272:32663-32669)。 3)転写開始複合体におけるTFIIE、TFIIH、Gal11の相互作用 Gal11はTFIIHとも結合する。TFIIHは転写開始時にRNAPIIの最大サブユニットのC末端領域を燐酸化するが、この活性がGal11とTFIIEの両方を反応系に加えることにより促進されたされた(J.Biol.Chem.印刷中)。 これらの研究より基礎補助因子のGal11は、TFIIEと協調して、TFIIHの酵素活性(RNAPIIのC末端領域を燐酸化)を制御することにより、転写調節をすることが示された。また、これらのタンパク質の相互作用が遺伝子のコアプロモーター構造に対し特異的に作用することが示唆された。しかし、特異性を決定するプロモーター上の構造については依然明らかではなく今後の課題である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Sakurai,H. and Fukasawa,T.: "Functional Correlation among Gal11,TFIIE,and TFIIH in Saccharomyces cerevisiae." The Journal of Biological Chemistry. (印刷中).
-
[Publications] Sakurai,H. and Fukasawa,T.: "Yeast Gal11 and transcription factor IIE function through a common pathway in transcriptional regulation." The Journal of Biological Chemistry. 272(51). 32663-32669 (1997)
-
[Publications] Sakurai,H.et al.: "Promoter structure-dependent functioning of the general transcription factor IIE in Saccharomyces cerevisiae." The Journal of Biological Chemistry. 272(25). 15936-15942 (1997)