1997 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製フォーク進行阻害による組換え誘発機構の解析
Project/Area Number |
09780646
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
定塚 勝樹 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (40291893)
|
Keywords | HOT1 / FOB1 / recombination / hot-spot / rDNA |
Research Abstract |
出芽酵母の体細胞分裂期の組換えホットスポットであるHOT1はrDNAリピート内の非転写領域(NTS)からなり、ゲノム上のrDNA領域以外の部位に挿入することによって、その近傍の組換え頻度を上昇させることが知られている。またこの組換えの活性化にはRAD52遺伝子が必要である。我々がHOT1の活性化に必要な因子として新たに単離したFOB1遺伝子の欠失株(fob1)では、HOT1の活性化が全く起きない事に加えて、NTS内に在る複製フォークブロック部位(RFB)での一方向からのフォークの進行阻害が同時に欠損することが分かった。fob1の性質から、HOT1の組換え活性化にはRFBでの複製フォークブロックが関与する事が示唆される。今年度,FOB1の機能とHOT1のrDNAリピート内での役割について調べるために、rDNAリピート内での組換えを野生型、fob1及びrad52株を比較して調べた。その結果、(1)rDNAリピート内にURA3遺伝子をマ-カとして挿入し、rDNAリピート内で組換えが起きURA3が欠失する頻度を調べたところ、fob1株では野生型に比べて1桁低いURA3欠失頻度を示す事が分かった。また、rad52株では野生型よりも高い欠失頻度を示した。(2)rDNAタンデムリピート領域でpop-out型組換えが起きる事により、circle状rDNAがゲノムから飛び出す頻度を調べた結果、fob1株、rad52株では同様に野生型より1桁以上低い頻度を示す事が分かった。(3)rDNA領域以外の部位での組換え頻度や、UV等のダメ-ジによる組換え頻度の上昇は、fob1株と野生株では全く同等である事が分かった。以上の結果から、FOB1はrDNA領域内での組換えに特異的に働いていることが分かった。さらに、これまでrDNA領域では組換えが低い頻度で抑えられていると考えられていたが、実際はHOT1に依存する組換え経路がダイナミックに起きていることが示唆された。以上の結果を論文にまとめる。 rDNAタンデムリピート内で組換えが高い頻度で起きる場合、rDNA unitのコピー数が減少する事が考えられるが、野生型でもfob1株でもrDNA領域の長さに大きな差は観られなかった事から、rDNAコピー数の維持機構があると考えられる。今後、野生型、fob1株において、rDNA領域内で起きる姉妹染色体間組換え等の性質の比較をする事により、rDNA unit数の維持機構に関して調べる。
|