1997 Fiscal Year Annual Research Report
タイトジャンクションの構成分子オクルディンの高次構造と結合蛋白質の研究
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09780653
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古瀬 幹夫 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (90281089)
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Keywords | タイトジャンクション / オクルディン / 上皮細胞 |
Research Abstract |
研究計画では「オクルディンの高次構造の解析」、「オクルディン結合タンパク質の探索」という順で2つのテーマを行うものとしていた。しかし、この分野の急速な研究発展に伴い、タイトジャンクションにはオクルディン以外に未知の膜タンパク質が存在することが示され、その新規分子を同定することが最重要課題となったため、研究の進行順を変更して、オクルディン結合タンパク質としてその分子を同定することから研究を開始した。まず、ニワトリ肝臓よりタイトジャンクションを含む膜分画を調製した。この分画を詳細に検討した結果、オクルディンそのものが電気泳動上のタンパク質のバンドとして可視化できるほど含まれていること、すなわちこの分画は予想をはるかに上回る量のタイトジャンクションを含んでおり、目的の分子を同定するための材料として適していることを再確認した。次にこの分画を様々な界面活性剤によって可溶化して、抗オクルディン抗体によってオクルディンと共沈してくる分子を探索したが、この方法では目的とするものは得られなかった。そこで、材料の膜分画を超音波処理によって物理的に破断して、密度勾配遠心法により分画し、オクルディンをマーカーとして挙動を共にする分子を探したところ、新しいタイトジャンクションの膜タンパク質の候補が得られた。次に出発材料の膜分画からこのタンパク質バンドを単離し、アミノ酸部分配列を決定して遺伝子クローニングを行った結果、この分子は新規膜タンパク質であることが示され、しかも上皮細胞株に強制発現させてその分布を調べたところ、確かにタイトジャンクションに局在することが明らかになった。9年度の研究で、当初の10年度研究計画で期待される成果の中でも最大のものが得られたと言える。引き続きこの分子の性質を明らかにしながら、10年度にはオクルディンとあわせてその高次構造の解明にも着手する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sakakibara A., et al.: "Possible Involvement of Phosphorylation of Occludin in Tight Junction Formation" The Journal of Cell Biolody. 137. 1393-1401 (1997)
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[Publications] Saitou M., et al.: "Mammalian occludin in epithelial cells:its expression and subcellular distribution" European Journal of Cell Biology. 73. 222-231 (1997)
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[Publications] Hirase T., et al.: "Occludin as a possible determinant of tight junction permeability in endothelial Cells" Journal of Cell Science. 110. 1603-1613 (1997)
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[Publications] Kimura Y., et al.: "Expression of occludin,tight junction-associated protein,in human digestive tract" American Journal of Pathology. 151. 45-54 (1997)