1997 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ胚における中脳の形成・分化の分子機構の解析
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09780675
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒木 功人 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (90281998)
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Keywords | Engrailed / 中脳 / in ovo electroporation / 転写抑制 / 間脳 / 細胞運命 / ホメオボックス / 区画化 |
Research Abstract |
発生中の中脳で勾配を成して発現(後ろで高い)しているEngrailed(En)遺伝子は、レトロウイルスなどを用いた強制発現実験より、中脳の前後極性の形成に重要な役割を果たしていることが示されている。即ち、Enを異所的に発生中の間脳-中脳領域で発現させると、中脳で同様の勾配を成して発現しているEphrin A2,A5の発現が誘導される。しかし形態的な変化については、中脳の前部の層構造が後部のそれに変わったという報告があるのみであった。最近我々は、in ovo electroporationを用いて、より発生の早い時期にEnを予定間脳-中脳領域で異所的に発現させると、予定間脳領域の形態が中脳のそれに変わることを明らかにした。このことは、正常胚で初期のEnの発現が予定中脳領域全体にわたることと併せ、Enは予定間脳-中脳領域で中脳となる部分を規定していることを示している。遺伝子レベルでこの発現型について解析を行ったところ、Wnt1や中脳のマーカーであるEphrin A2,Pax3,7の異所的な発現が見られた。一方、間脳のマーカーであるPax6の発現は抑制された。また、突然変異を導入したEnの強制発現実験から、Enが発生中の脳に於いて転写抑制因子として働いていることが示唆された。現在、細胞レベルで何が起こっているかを解析中であるが、Enによる予定間脳の中脳への転換には少なくとも細胞死は関与していない。
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[Publications] Kusakabe,T., Araki,I., Satoh,N. and William R.Jeffery: "Evolution of chordate actin genes : evidence from genomic organization and amino acid sequences." J.Mol.Evol.44. 289-298 (1997)