1998 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ胚における中脳の形成・分化の分子機構の解析
Project/Area Number |
09780675
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒木 功人 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (90281998)
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Keywords | Engrailed / 中脳 / in ovo electroporation / 転写抑制 / 間脳 / 細胞運命 / ホメオボックス / 区画化 |
Research Abstract |
発生中の中脳で発現しているEngrailed(En)遺伝子をin ovo electroporationにより異所的に間脳で発現させると、間脳細胞が中脳細胞に変わり、中脳-間脳境界が前方へ移動することを昨年度発見した。今年度は異所的なEnの発現により発現が影響を受ける遺伝子群の経時的変化を詳細に解析した。その結果、(1)間脳においてEnはelectroporation後3時間でPax-6を抑制すること、(2)この抑制は9時間後に起こるWnt-1の誘導や、18時間後に起こるFgf8,Pax-2,Pax-5,Ephrin A2の誘導に先立つことが明らかになった。また、in vitroにおいてEnの転写抑制活性に必要であると考えられている部分に点突然変異を入れた改変Enは、間脳を中脳に転換する能力を持たないことを昨年度示したが、本年度はEnが発生中の脳で転写抑制因子として働いていることをさらに裏付けるためVP16蛋白質の転写活性化ドメインをEnのホメオドメインと結合したキメラ蛋白質を発現させたところ、Pax-6の中脳における異所的な発現や中脳-間脳境界の後方への移動が誘導された。以上の実験結果はEnの発生中の間脳-中脳領域での主な役割は(1)間脳の運命を抑制することにより中脳の前端の位置を決めること、(2)Fgf8やPax-2などの中脳関連遺伝子の負の調節因子の発現を抑制することにより中脳関連遺伝子の発現を誘導、維持すること、の2点であることを示している。これらの実験結果に関する論文を現在投稿中である。
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